きゃりあ・ぷれす

りーだーず・ぷれす
「自分で何かをやりたい」「発信したい」と考える
『きゃりあ・ぷれす』読者による連載コラムです。
各担当者がそれぞれのテーマをに沿って、
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トナリノさん
『トナリノ通信』
第8回
『ミツバチと環境問題』
〜斑点米か農薬米か〜
ミツバチの不足が全国の農家を悩まているという報道があります。ミツバチの大量死がこの5〜6年世界各地で報告されています。アメリカでは一夜にして大量のミツバチが消えたという報道がありました。
ミツバチというと、蜂蜜やローヤルゼリーといったイメージが強いのですが、果物や野菜の栽培の現場では、受粉を担う重要な存在なのです。自然に生息するニホンミツバチやそのほかの虫も花粉を運ぶのですが、それだけでは足りないため、多くの農家が別種のセイヨウミツバチを購入したり、レンタルしたりしています。昨夏以降、ミツバチが減少してイチゴやメロンなどの農家から悲鳴が上がっている様子は、最近のメディアの報道でも話題に新しいところです。私たちの生活を支えているミツバチの減少と失踪はなぜ起きたのでしょうか。


ミツバチ問題の背景には、温暖化などによる気象の変化や、農薬など生態系に影響を与えるなどの要因が、複数絡み合っています。その原因の一つではないかと言われているのが、米につくカメムシ防除に使われるネオニコチノイド系農薬で、カメムシ発生面積の3倍もの農薬が散布されているというのです。


大量の農薬が散布される理由は、農家が出荷するときに行われる農産物規格規定で、米に検査があります。カメムシによる斑点米などの着色粒が千粒に1粒なら1等米ですが、2〜3粒混じると2等米に格下げされてしまうからです。7粒だと3等米になります。生産者が出荷する段階で1等米、2等米、3等米規格外の等級がつけられ1等と2等では60キロ当たり1000円の価格差がつくのですが、小売の段階では等級は消えてしまっており、産地、産年、品種、使用割合を表示すればよいことになっています。


これについて農水省では、卸・流通業者が何度も色彩選別にかけ、斑点米を取り除くなどして1等米と同等の品質にしており、価格差額はそのための費用として使われるとの説明をしています。市民・生産者団体は着色米の項目を削除すべきとして、農水省に申し入れをしていると報道されています。


カメムシが吸水したために黒い斑点ができる斑点米は、食品としての安全性には問題がないと専門家は述べています。カメムシにはたくさんの種類があり、オスは米を吸水し作物にダメージを与えるものも中にはありますが、メスは肉食で害虫を退治するものもあります。また、カメムシ以外の生物もネオニコチノイド系農薬で生態に影響を受けているはずです。来年10月には生物多様性条約の第10回締結国会議が名古屋で開催され、日本はホスト国の役割を担います。生物多様性の面からも、見直す必要があるのではないかと考えられます。


しかし、消費者の中には、斑点米は虫の被害を受けた米だから食べたくないと考える消費者もいるのも事実のようです。個人の価値観もあるとは思いますが、私なら斑点米など見つけたときによければいいのであって、大量の農薬が散布された米よりよほど安全だと思うのですが。いずれにしても消費者としての姿勢が問われる問題でもあります。消費者の望むものが売られるわけですから、消費者の消費行動が鍵です。賢い消費者ならならどう考えるでしょうか。