私は4月から、地球温暖化防止推進員として活動を始めました。エコ検定を取得したことがきっかけで、せっかくだからこれを何かに繋げたいと考え
ました。21世紀は環境の時代と言われ、省エネやリサイクルについて意識を高めるエコピープルの数も年々増えてきました。北海道洞爺湖サミットでは、日本は議長国として積極的なリーダーシップを発揮して、建設的な議論を進めることができたのでしょうか。温暖化対策として、具体的な行動計画は示されなかったようですが、「CO2を半減するビジョンの共有」だけで、はたして前進したと言えるのでしょうか。
わが国のエネルギー自給率はわずかに4%です。食料自給率の39%よりもさらに低い数字となっており、先進国の中では最低です。来るべき高齢化
社会では電気の使用量はますます上昇していくでしょう。現状のまま使い続ければ、石油はあと約40年で枯渇すると言われています。そして止まらない原油高。それに付随しての日常品の連続的な値上げ。私たちは自分たちの生活を守るためにも、資源やエネルギーのことを真剣に考えていかなければならない時期に来ています。
現在、発電量の約3分の1を原子力発電で賄っています。主要国の一人あ
たりの日本の電力使用量は、カナダ、アメリカに次ぐ世界第三位です。私は
原子力というとこの時期特に、広島、長崎のことを考えずにはいられません。
平和的な利用だけでは済まなくなるのでは、という思いがしてしまうのです
が、杞憂であることを願うだけです。化学者は戦争のために原子力を研究し
たのではないでしょう。しかし政治と結びつくと間違った方向に使われてい
くのを、日本人は既に体験しているのです。
原子力発電のメリットは、CO2を出さないことと、安定供給です。ウラン
の輸入国は、政治的に安定した先進国からがほとんどです。また一度使用し
たウラン燃料を再処理することにより、得られたプルトニウムを再び利用す
ることもできます。
しかし大きなデメリットがあります。最終処分しなければならない電気の
ゴミと言われている「高レベル放射性廃棄物」の最終処理という大きな問題
です。ガラス固化体にして、地中深く埋めて処分するにあたり、最終的にど
こに処理するのか決定していません。手を上げる自治体はいても、結果的に
住民に反対されています。私たちの地域にその処分場をとなると、やはり簡
単に受け入れることはできないと思います。
原子力発電所の起こした過去の事故も忘れることはできません。事故の原因
は主に人的要因で、チェルノブイリの事故とは原子炉の構造が違いますが、
原子力を使うのは人間です。リスクが非常に大きいことは認識しておかなけ
ればなりません。
私たちは毎日電気を使っていますし、原子力発電は既に動いています。
自分たちが使っている電気のごみに対して、私達には責任があります。家庭
で消費する電気の量は、全体構成比の2割弱で少ないように感じますが、私
たちは「間接エネルギー」を使っています。間接エネルギーとは、生活用品
など私たちがそれを利用するためにも、それを生産し、輸送するためのエネ
ルギー(間接エネルギー)が使われているのです。消費を通じてエネルギー
を消費しているわけですね。
低炭素社会へシフトしていくためには、新エネルギーの技術開発と、循環型社会のしくみ作り、省エネ技術が鍵ではないかと思います。原子力発電も
有効な手段であります。しかしCO2削減のために原子力発電所を作るという考えには賛成できません。日本は地震が多い国であるにもかかわらず、原子力発電所が52基あり、これらの発電所が地震に耐えうるものであるかということは証明できません。しかし再処理工場の本格稼働は始まろうとしています。私は、原子力発電に重きをおくのではなく、新エネルギーなどいくつかのエネルギーを並行して使っていく体制にすべきだと考えます。私たちは今、現実をしっかり見つめ、我が国や国民にとって真に必要なものと必要でないものを見極め、それによって生じる責任は何かを、冷静に判断する目を持つべきだと感じています。また食育同様、エネルギー教育も必要です。国として自立する大切さを教えていくことも、重要な教育の要素なのではないでしょうか。