第11回
「これで良かった?」とこの1年を自問する。
「今年を振りかえる時期になってしまったねぇ。おまえさんはどんな1年だったえ?」飼い猫に腕枕をせがまれて寄り添いながら寝床での独り言。今年も最後まで元気よく転がる、転がる〜 というか、寄る年波に飲み込まれた感じです(笑)。
世界を巻き込んだ大不況波からなんとか生き延びる1つの方法として俄かに始めた半農半デ生活。
都会のネットカフェ難民や派遣村に集う若者に「田舎で農業はどうだい?贅沢しなきゃ、今よりマシな暮らしができると思うが…。」と思ってきたが、どうやらそんな甘いもんじゃないぞと考え直すこの年の瀬。
地方の農村は耕作放棄地がどんどん増えてきている。行政はそんな農地の管理など到底できないから「農村環境整備事業」とかなんとかというような補助金を与えて、地区住民に放棄地の管理をさせようという「せこい」手段に出ている。いずれ、事業仕訳で見直し、廃止の対象になるかもしれない、なんとも怪しい補助金なのだけど。
専業農家も兼業農家も一層減少している中で、このような事業は区長さんが「それではこの畑には蕎麦でも植えて、収穫し、年末には蕎麦打ちし、地域の活性化を談義しましょうぜ」あるいは「農業先進地に研修にまいりましょう。」と声かけし、地区の慰安旅行まがいになるお粗末さ。
霞が関の机上論と地方との意識のかい離。農家の直接所得保障も、さてどう変形していくことか?
子ども手当てもままならぬ新生与党。他の誰かに頼ってはいられぬと、生産者と消費者が直結した「農産物直売所」に参加。じっちゃんとばっちゃんがそれこそ、人生の半分以上をかけて培ってきた田畑や山で汗と愛情を注いで育てた農産物を、ちょいと手間をかけて付加価値をつけ販売する。この直売所システムは生産者と消費者に大うけし、全国で大流行。生産者が納得する販売価格をつけて、自己責任で出荷販売する。売価の15%〜20%の手数料を払うだけで農協の組合員なら誰でも参加することができる。ここ鳥取の片田舎の直売所でも1日の来店数が500人〜600人。年間総売上は2億〜3億という。鳥取県県内にいくつ設置されているのか?新たにあそこにも、ここにもできるという話。誰もが喜ぶ直売所だけど、これも考え物だ。なにか引っかかるものがある。
直売所に出荷してくる生産者は、農業の第一線から引退した年金生活のおじいさん、おばあさんが多いという。「ちょっとしたお小遣い」になるからと。次ぎに、農協に出荷しても赤字になるばかりだから、大都市のお店と直接取引する余りものを地元の直売所に出す。産業としての農業を考えると「このままじゃダメになる」。こんな実際の話。
後継者がいない梨農家。都会からセカンドライフを楽しむ60代の女性が梨園を受け継いだ。コーディネーターは町役場だ。今後もこういう希望があるなら受け入れるという。一見、これもいい話のように思えるが、町の産業として考えると「これじゃダメだ」。趣味の農業ばかりが増えていいのだろうか。
産業としての農業、農家を育てていかなければ、地方はどうなる?これ等を考えるのが「農協や農水省」の仕事じゃないだろうか。なのに、農水省と結託して補助金で施設を作りせこく手数料を稼ぐ。「せこい!!」・・・こんなことなどを考えながら、「何かいい話がないかなぁ〜。来年はどんな年になるだろうか」と、今日も直売所に「豆ゆず」や「小豆」を持って行く。
一方で、ホスピス・ボランティア養成講座に半年間通う。自分の「死」、家族の「死」についてを考える半年だった。
もしも…、余命いくばくかの人生となったとしたら、「最後まで人として生きていたい」と思う。周囲にそのような人がいたら「最後までその人らしく生きてほしい」と願う。そのリハーサルとでもいうような気持ちで勉強してきたつもり。野の花で感じたこと、学んだことをマイブログで綴ってきたが、こころが軽くなったような気がする。
★「野の花診療所」
http://homepage3.nifty.com/nonohana/
歩みは小さいけれど、自分らしく生きて行こう。自然の中に身を置き、こころ豊かに生きていこう、と
ゆったりと流れる時間、田舎暮らしの大いなる素晴らしさとほんの少しの大変さが伝えられただろうか?
それでもなんとかこの一年を乗りきったことを感謝しなくちゃね。
この一年間、田舎と都会の過不足をどう埋めていこうか?そんな思いを持ちながら綴ってきましたが皆さんはどんな一年間でしたでしょうか?良いお年を!!