きゃりあ・ぷれす

りーだーず・ぷれす
「自分で何かをやりたい」「発信したい」と考える
『きゃりあ・ぷれす』読者による連載コラムです。
各担当者がそれぞれのテーマをに沿って、
思いを綴りながら、自らを成長させていく過程は、
共通の悩み・興味を持つ読者の皆さんにとっても、
共感を持ってお読みいただけると思います。
ご意見やご感想、質問などもお待ちしています。
ハナコさん
「三度目の人生設計」〜田舎で働く!土と暮らす!〜
第8回
「田舎の強みは地縁・血縁、
そして『好縁』」
砂丘ぶどうの素晴らしさを伝えるという仕事は、生産者の前向きな姿勢と協力がなければ出来ないことでした。5月下旬から9月上旬までの約4ケ月間、忙しい中にあって作業の節目、節目にケイタイで連絡をもらうと、車で駆けつけてハウスの中で汗を流しながら、ぶどうの生育をレポートすることができたのでした。特に8月は最盛期となり、一番値が出る巨峰、ピオーネの収穫時期です。
農産物はお天道様次第。疲れたからといって、休んでいる暇もくれません。気温との駆け引き、雨や強風との戦いでもあります。幸いにも今年は台風被害もなく(本当に日本列島に台風が上陸しませんでしたね!)順調にシーズンを終えることが出来たようです。そして、その収支はどうだったでしょうか?我々がしたことは微力でしたが、「一緒にぶどうを売っていこう!」という賛同者がいるということだけでも心強い支えとなる、また、「美味しいぶどう、来年も楽しみにしています」という声が届く。この気持ちに応えようと来年もぶどうを作っていこうと思いを新たにしたということでした。良かった!全ての収穫を終えて、ハウスのビニールを外していきます。枝についている葉っぱを落とし、10月、休むまもなく翌年のために施肥作業が始まるのです。「今年一年、ご苦労様」という感謝の気持ちを添えて。
この度のぶどう作りを通して感じたことがあります。それは、「農協のあり方、消費者との関わり方」です。体力勝負、時間制限のない労働、知恵を絞り、工夫して良いものを作っても、最終的に生産者が達成感を得ることができない流通システムがありました。それは、農産物の価格に色濃く反映しているといえます。農産物の価格がどうして決められるのか不勉強ですが、作っている当人は決められないのです。(いわゆる農家の権利ってなんだろう?)経費、労働時間、作業内容とを勘案しても、あまりにも「安い」のではないか?いえ、消費する立場であれば安いものに越したことはありません。しかし・・・。
汗と涙とため息という実態を目のあたりにすると、私を含め消費者はあまりにも我がままなのではないかと思うのです。「いつでも、どこでも、安くて、美味しくて、安全なもの」を当然のように求めている。
それが、途切れることなく続くと思っている。この無神経さに生産者は弱っていくのだと思います。結局、農家、農業を潰していくのは、中国でもない、旧態然とした農協と我々消費者なのだと気付かされたのです。生産者と消費者の距離が乖離しすぎてしまったのですね。少し前までは、見えるところに田んぼや畑はあったのです。農産物は大地の恵み。工場から作り出されるものであってはならないのです。
ある米農家が言っていました。「美味しくて、安くて、安全な米」を手に入れるには、農家と仲良くなることだと。農家とお友達になりなさいと。…実際に農村に出向いて農業を知る事だと。同感です。せめて、国産のもの、ふるさとからの農産物に関心を寄せてほしいと思います。
さて、田舎は地縁(向こう3軒両隣り、都合5軒)、血縁の付き合いが濃くて嫌がられる傾向がありました。お隣りの夕飯の献立が翌日には井戸端会議のネタになっているという、これは誇張した例え話ですが、今はその濃い付き合いも薄れてしまい、地域社会の崩壊、地域の教育力の低下などと懸念されています。確かに、地域社会の結束力は弱まり、好縁社会(趣味や価値観で結ばれるコミュニティ)に変わってきているように思います。これは、ネット社会が産み出したメリットでもありますが、時代の発達、変化、技術革新がもたらしたもの。ある意味、必然の結果です。私などは、昔の濃さがある程度薄められて、住み心地も良くなったと歓迎していますが。適度なお付き合いの濃さ加減。環境の良い田舎に暮らしながら、時代のトレンドも察知できて、選択肢も広がっているように思います。
そして、今私はこの「好縁社会」に生きているのだと痛感した瞬間がありました。
「一人じゃ何もできないけれど、多くの人の夢のかけらが集まれば、誰かの夢がひとつだけ叶えられる。」こういうメッセージが飛び込んできたのです。「夢手紙コンテスト」のお知らせです。(詳しいことはネットで見てください!)

<この家、あげます。この家は、本当に 気に入ってもらえる方にお譲りしたい。
いわゆる「不動産物件」のような扱い方はしたくない。
ずっと、そう思いながら、いいアイデアも思いつかず、
やっぱりどこかの不動産物件のように、最初は値段をつけていたのです。
でも、やっぱり違うなぁ。何かが違う。
(中略) チーナカ豆として、何かもっとエキサイティングなやり方がないんだろうか。
そう考えていたら、偶然に素敵な映画に出会いました。
田舎町の古びたレストランを舞台に繰り広げられる物語ですが、
その中でレストランを誰かに譲ろうして、「作文コンテスト」をやるんですね。
100ドルで応募してもらって、いい作文を書いた人にレストランを譲る。
「あっ、これだっ!」って思いました。  お金がなくったって、
実現したい夢があるなら、チャンスはどこにでも転がっている。
このやり方なら、それがカタチにできるんじゃないかと思った。
たった1万円で、実現したい夢のスタート地点に立てるとしたら、
こんなに素晴らしいことはない。>以上、抜粋

この森で、天使はバスを降りた [DVD] 出演: アリソン・エリオット, エレン・バースティン 監督: リー・デビッド・ズロートフ
世の中、捨てたモンじゃないな~って、うれしくなりました。そこで、私の知っている方々にメールでお知らせして、もっともっとPRして「本当に天使がきてくれたら・・・」とこの夢にすっごく共感したのです。メールのやりとりなどもあったりして、夢サポーターとして応援することにしたのです。 とても素敵なことじゃないですか?ワクワクしてきませんか? そして、この出来事に刺激されたわけではないのですが、「鳥取の砂丘ぶどう」の経験から、産直ネットをさらに発展させていこうと考え始めました。もっともっと田舎の強み(魅力)を発信していくことにしたのです。       ・・・・つづく。