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仕事と社会のこれからを考えるリポート&アクションマガジン
「きゃりあ・ぷれす」vol. 133
2003・3・27(木)発行
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■INDEX■
【特集】「天職を探せ」第7回
「起-動線」世話人
「株式会社アーキット」代表取締役 堀内浩二さん(後編)
・“世に問う”という生き方
・今後「起-動線」終了者の支援やコミュニティづくり、終了者同士の
コラボレーションをめざす。
・【体験記】挑戦しました!”起-動線”自分ナビ作成プログラムイン
トロセミナー参加体験記
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「天職を探せ」第7回
「起-動線」世話人 堀内浩二(ほりうちこうじ)さん 後編
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【プロフィール】==========================
堀内浩二さん
早稲田大学大学院理工学研究科(高分子化学専攻)終了。
アクセンチュア(当時アンダーセンコンサルティング)にて鉄道会社・道路
公団・学園法人・飲料メーカー・化学メーカーなど多様な業界における基幹
業務改革プロジェクトに参画。1998年より米国カリフォルニア州パロア
ルトにてITベンチャーの技術評価プロジェクトに携わった後、グローバル
企業のサプライチェーン改革プロジェクトにEビジネス担当アーキテクトと
して参画。2000年に帰国、ソフトバンクと米国VerticalNet
社との合弁事業においてCTO及び事業開発を担当。合併会社解散後、自分
の進路を考えるのに必要だった様々な要素を組み込んだ「自分ナビ」作成プ
ログラムを開発し現在、会員制コミュニティサイト「起-動線」(eラーニ
ングによる社会人向け人生設計支援サイト)の開発・運営を行う。
株式会社アーキット代表取締役
http://www.ki-dousen.net/
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●“世に問う”という生き方
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− 今回、「天職を探せ」の特集でお話を伺っています。堀内さんのことば
で、何度か「世に問う」というキーワードがあったのですが、それは天
からの使命のような感じなのでしょうか。
うーん、使命かどうかは分かりませんが、ふた通りの意味があります。ひ
とつは自己満足的なもので、例えば「起-動線」を僕は自分ひとりで文章を
書いて、システムを組んでサイト運営をしているんですが、それは“ひとり
でどこまでできるか挑戦する”という意味の「世に問う」ですね。
もうひとつは、“価値のあるものを提供して、人の役に立ちたい”という
意味での「世に問う」です。僕は社会人になって今年で満10年なので、同
期生もそろそろ中堅です。たまに集まったりすると、会社とか、業界とか、
あるいは日本に対する期待や不安がいろいろ出てくるわけです。一方で、結
婚したり離婚したり、子供ができたり家を買ったり、仕事だけじゃなくて個
人の人生においてもいろいろな決断を迫られてますよね。そういうのを見て
いると、何かできることがあるのではないかと思ったんです。
僕も含めて、人間やったことがないことはなかなか踏み出せないもので
す。10年同じ会社にいれば、転職するよりは今の会社の中で成長を目指す
ほうが楽ですよね。でもその会社はある日、なくなってしまうかもしれな
い。なくならないにせよ、思ったほど昇進できないかもしれない。これから
は日本の人口も減ってきて、経済の規模も小さくなってきて、大成功する人
も少なくなってくるかもしれない。
要するに、成功とか満足を自分の外にあるもので測ることができにくくな
ってきていると思うんですね。羅針盤は自分の中に持つしかない。前に進む
ためのふんぎりを付ける、リスクを取ってチャレンジをして、たとえ失敗し
たとしても、自分自身が後悔しないためにベストを尽くした結果なのだと思
える、逆境の中で自分自身を正当化・合理化できる、そういう、自分で自分
の道を切り拓いていこうというひとたちのために、頭と心を整理するツール
が提供できたらどんなに素晴らしいことだろうと、そう思っています。
− お子さんの存在も、今の働き方を決めるのに重要なポイントだったよう
に伺いましたが。
ええ、かなり(笑)。僕には5歳と3歳になる子供がいます。小学校に上
がれば自分の社会を持つでしょうから、その前のこの時期を子供と一緒に過
ごすことは、子供にとってというよりも自分にとって重要でした。今は週に
2日ほど東京のオフィスに出る以外は自宅で仕事をしていますので、15時
間でも16時間でも、好きなだけ仕事をして、かつ子供と3食ご飯を食べて、
お風呂に入ることができる、これだけでも僕にとっては起業の意味がありま
す。
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●今後「起-動線」終了者の支援やコミュニティづくり、終了者同士のコラ
ボレーションをめざす。
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− 今後、「起-動線」はどのように進めていきますか。計画などお聞かせ
ください。
現在の「起-動線」の状態を僕は“フェーズ1”と呼んでいまして、まず
はプログラム終了者をたくさん出したいんですね。そうすると同じ言語で喋
る、つまり同じフレームでものを考える人が出てくるということです。この
プログラムは結構長いし、しかも理屈っぽい。誰でも面白いと思ってもらえ
るものではないんです。でも、これを面白いと思ってもらえる人たちとは、
どこか共通の資質のようなものがあるのではないかと思うんです。そういう
人たちとはこれから先、長くおつき合いしていきたい、つまりそういう人た
ちとコミュニティを作りたいんですね。そこでは志を同じくした者同士でビ
ジネスが発生するかもしれない。そういう場を作っていきたいんです。
“フェーズ1”はプログラムを実行していきますが、そのあとの“フェー
ズ2”はプログラムを経て、転職をしたいとか、資産形成を真剣にやりたい
とか、何らかのチャレンジが決まった人たちをサポートしていきたいと思っ
ています。具体的には転職の仲介業者へのあっせんであったり、学習プログ
ラムの提供などです。ここで気を付けたいのは、起-動線が「販売」するの
ではなくて、あくまでも「購買」の支援、優良なサービスを紹介して自発的
に選択してもらうというスタンスです。
次に“フェーズ3”ですが、会員の中で経済圏を作ることができたらと思
うんです。例えば、仕事を紹介し合ったり、共同で何かを出版したりと、何
か面白いことを一緒にやれる仲間を、見つけることができる場所を作ること
ができれば、最高だと思うんです。それはきっと一生の財産になると思いま
す。
− 今の話を伺っていると、「起-動線」と「きゃりあ・ぷれす」には通じ
る部分が多いように感じました。私たちも昨年、“フェーズ2”宣言を
しました。私たちもコミュニティ的なネットワークとしてやっていきた
いと思っています。これから何らかのことを一緒にやっていければ、面
白いことができるのではないかと思います。
そうですね。お互いに何かメッセージを出し合うみたいなことができた
ら、いいですね。そういうやり取りの中から、共感の輪もきっと広がるでし
ょうし。現に、「起-動線」と似通った理念を掲げているベンチャー企業が
あって、そこは転職支援の分野なんですが、来月そこと共催セミナーをやる
んです。それはほとんどボランティアですが、ともかくお互いがどれくらい
波長が合うか、また各自が持っているコミュニティの質がどの程度合うかと
いうことを知るためにやるんですね。「きゃりあ・ぷれす」さんともお互い
に寄稿し合うとか、小さなイベントでもいいんですが、やっていければいい
ですね。
− お互いの中で継続してやっていければいいと思いますね。そういう中で
「きゃりあ・ぷれす」読者の方で「自分ナビ」に興味を持って登録する
人も出てくるかもしれません。また「起-動線」に参加している方々に
「きゃりあ・ぷれす」を読んでいただけると嬉しいです。本日はありが
とうございました。
こちらこそありがとうございました。また、「起-動線」に何か、ご寄稿
いただけることがありましたら、こちらとしても嬉しく思っています。
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挑戦しました!”起-動線”自分ナビ作成プログラム
イントロセミナー参加体験記
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◆「起-動線」では、パソコンを操作しながら自分ナビの作成方法を教えて
もらえるイントロセミナーを定期的に開催しています。3月5日に行われ
たセミナーにコラボレーション編集スタッフの木村が行ってきました。
午後6時半過ぎ、仕事を終えて居酒屋でも行こうかというサラリーマンの
流れに逆らうように新橋・虎ノ門界隈を歩いて会場に到着。この日の参加者
は総勢8名でしたが、初めて女性が過半数を超えたということで、パソコン
操作のナビゲーター役を務める小林くん(←実は木村の高校時代の同級生。
すごい偶然でした)の声も「一段と張りがあった」(堀内さん談)そうで
す。
さて、セミナーは通常11時間でやる内容が80分間に凝縮されているた
め、本来は3つ設定するチャレンジを1つにして進められます(このため、
以下の詳細も本来「起-動線」のサービス内容にある一部プロセスが省略さ
れていますので、ご了承下さい)。
まずは「自分がどのような人間でありたいか、どのようなことをして生き
たいか」ということを「内なるありたい自分」というコーナーで言葉にして
いきます。ここでは「人助けをしたい」「周りの人にやさしくありたい」と
いったシンプルな考え方の表明でいいんですが、鼻息荒くせっかちな私は「
ジャーナリストとして独立したい」とストレートに書いてしまいました。
次に「どうしてそうなりたい(ありたい)のか」「では、その先どうすれ
ばいいか」ということを「ドシテ君、ソレデちゃんとの対話」というコーナ
ーで自分に問いかけながら次々と書いていきます。1つ書いたものに対して
さらに「どうして?」と問い掛ける−。このあたりからは独走態勢に入った
マラソンランナーよろしく自分との戦いの様相を呈してきて、ふと周りを見
ると皆必死の形相でパソコン画面、そして自分の心の中と向き合っているよ
うでした。
こうして、最初の成果物である「ありたい自分シート」が出来上がりま
す。これに基づいて、次はありたい自分を実現させるために(1)ありたい
自分を伸ばす(2)家庭や職場や社会で自分を生かす(3)経済力や健康な
ど生活の基盤を豊かにする−という3つの観点に対して、ありたい自分を実
現することのメリットと覚悟しているリスク、残っている不安感を書く「全
方位チェック」を行います。例えば私なら、(1)に対しては独立すれば
「自分の考えを原稿や作品に投影する機会が増える」のがメリットで、「毎
月同額の収入が得られない可能性がある」のが覚悟しているリスク、「収入
不足になった時にどうでもよい仕事を引き受けてしまわないか」という不安
感がある−といった具合に書き出します。
今度は、先ほど不安感として挙げた事柄(これをAとする)に対して、
(B)こうすれば大丈夫と言える状態をイメージする(C)AをBにするた
めにはどうすべきか−ということを「心配事を洗い出す 大丈夫シート」に
書き込みます。私の場合、A「収入不足になった時にどうでもよい仕事を引
き受けてしまわないか」という不安感はあるが、B「後々財産になるような
内容の仕事を企画したり、引き受けるよう心掛ける」ことにすれば大丈夫だ
と思っていて、そうするためには、C「これまでの自分なりの判断基準を守
りつつ、人脈を広げる」べきだ−となる訳です。
そして最後に、「チャレンジモニター」という画面を開くと、なりたい自
分を実現するために、自分がどんなことを覚悟し、どう臨もうとしているか
というこれまでに書き上げた事柄が、画面左から右に表のような形で整理さ
れて示されます。こうして、「そうか、自分はいつもこんなことをあれこれ
考えながら将来を思い描いているんだなあ」ということを知ったところで、
この日は時間切れとなりました。
最後に堀内さんから「自分ナビを書き上げることとこれを実行に移すこと
にはさらにギャップがあるけれど、少しづつでも動き出すことで自分のチャ
レンジに近づいて欲しい」とのお言葉があり、これをもってセミナーは無事
終了。夕方のサラリーマンたちの後を追いかけるように、講師の皆さんと参
加者有志で第二ラウンド!?に向かったのでした。
参加した方々からは「自分の想いをまず持つこと。その重要性にあらため
て気づいた事はとても有意義だったと思う」「みんな自分の試みのため悩ん
でいること、そしてそれをやり遂げるためにがんばっていることがわかっ
て、仲間がいるようで励まされた。自分のやりたいことを見極め実行するこ
とは大変だけど、頑張ろうって気持ちになった」などの声が寄せられまし
た。先行き不透明と言われる世の中では、カウンセリングやセミナーと称し
て様々な資格を持ったプロが生き方を”伝授”してくれる場があふれている
感がありますが、堀内さんの「まず、やりたいことと満たしたい価値観を明
確にすべきだ」という考え方に私たちは共感しています。画面上で進めるプ
ログラムなので、どうしても文章だけでは伝え切れない部分があり、分かり
にくい点もあったかもしれませんが、少しでも興味を持たれた方はぜひトラ
イしてみてください。 (了)
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●発行人:宮崎郁子
●編集:宮田生美 木村麻紀/高橋信夫 渡部麻美 山崎義高
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