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社会起業家的生き方への共感 ビジネスの手法によって地球環境保護や社会問題の解決を目指す社会起業家。米国では、相次いだ企業不祥事や長時間労働に嫌気した人々が、地球環境保護や社会問題の解決に何らかの形で貢献できる仕事をしたいとキャリアチェンジする動きが目立っている。 隔月誌「worthwhile(価値のある)」には毎号、ボディショップのアニタ・ロディック氏ら世界的に知られる社会起業家のパイオニアたちとともに、サラリーマンから転じた新米社会起業家たちのインタビューが満載されている。例えば、途上国の子どもたちに本を無償で送るNGOを始めた元マイクロソフト社員や、貧困層に安価な薬を提供する米国初の非営利製薬会社を創業した元大手製薬会社研究職の女性。「仕事は仕事」と割り切るのではなく、「地球環境を何とかしたい」「貧困をなくしたい」といった自らの価値観に仕事を重ね合わせて生きる人たちばかりだ。Worthwhileは05年1月の創刊以来、毎号ごとに発行部数を伸ばし、次回7月号で12万部に達する見通しだ。 社会的起業に関する講座を持つコロンビア大学経営大学院プログラムマネジャーのサンドラ・ナバリさんは、worthwhileの人気の秘密を「個人の価値観に沿ってキャリア上の目標を達成することは可能で、しかも実際に達成している人たちが大勢いることを積極的に紹介する編集姿勢が支持されているのではないか」と指摘する。 社会起業家として社会的責任を伴った持続可能なビジネスを始めたいと望む人たちによるネットワーク組織もある。 ネットインパクト(本部サンフランシスコ)は、社会的責任ビジネスに関心を持つ現役MBA学生による組織として1993年に発足。10年余の歳月を経て、現在では米国のほかカナダ、スペイン、インドなど8カ国に計90支部、会員約1万人を誇る一大ネットワークに成長した。英フィナンシャルタイムスが選ぶ「世界のMBA課程トップ10」には、いずれもネットインパクトの支部がある。米国を代表するオーガニック紅茶のブランドに成長したオネスト・ティーのセス・ゴールドマン会長兼Tea−EO、大都市貧困地域の人材を活用してNPOや地域のスモールビジネスなどにITサービスを提供するシティソフトのニック・グリーソンCEOら、学生当時からネットインパクトに参加し、卒業後に成功した若手社会起業家も数多い。 04年11月、そのメンバーたちが集う年に一度の祭典「ネットインパクト・コンファレンス」がコロンビア大学で開かれた。今年で12回目を迎えたコンファレンスは、社会的責任ビジネスの最新動向を網羅した50以上の分科会や、社会起業家の卵たちによるビジネスプラン発表会、ニューヨーク市内の社会事業プログラム見学など盛りだくさんの内容で、参加者の数から基調講演に登壇したCEOの数、分科会の数に至るまですべて過去最高規模となった。(写真=04年のネットインパクト年次総会の模様) Worthwhileの人気、そしてネットインパクトの成長ぶりは、社会起業家として生きることへの共感がじわじわと広がるとともに、社会起業家たちによる社会的責任を伴ったビジネスに対する要請が高まっていることを伺わせる。(2006年1月掲載) |
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