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企業の社会的責任(CSR)に目覚めた女性たち 地球環境の持続可能性(サステナビリティ)や従業員の労働環境に配慮し、地域社会に貢献しながら安定した利益を上げることを目指す企業の社会的責任(CSR)を表明する会社が世界的に増えている。こうした中、働く女性たちにCSRやサステナビリティに関するテーマへの造詣を深めて仕事や日常生活に役立ててもらうことを狙った勉強会を企画する非営利団体がニューヨーク市内で活動を始め、幅広い業種のワーキングウーマンたちの間で人気を呼んでいる。 ◆ 社内や地域社会にインパクト ある平日の正午。「持続可能な未来のための女性たちのネットワーク」(Women’s Network for a Sustainable Future WNSF)主催の昼食勉強会が開かれるマンハッタンの会場に、50人余の女性たちと数人の男性たちが集まって来た。この日のテーマは、自然エネルギーや雨水の利用、屋上緑化などを通じて環境への負荷を抑える「グリーンビルディング」。大手企業の巨大オフィスビルから一般住宅に至るまでグリーンビルディングが増えているNY市内の現状や、米国のグリーンビルディング認証制度(LEED)などを説明するパネリストの講義を、皆熱心に聞き入っていた。 この昼食勉強会は04年10月にスタート。これまでに「ダイバーシティ」「ビジネスと地域社会との関わり」「企業文化とサステナビリティの融合」など、CSRに関連するトピックを取り上げてきた。WNSFのメーリングリストには、大手企業の社員を中心にフリーランサーやMBA(経営大学院)の学生など約1500人が登録されており、勉強会への参加者は回を重ねるごとに増えている。 勉強会に参加しているダイアン・キーフェさんは、社会的責任投資(SRI)ファンド大手米パックスワールドのファンドマネジャー。WNSFの成功によってワーキングウーマンや彼女たちが属する企業のCSRへの意識が高まれば高まるほど、環境や社会貢献への取り組みに優れた企業に投資するSRIファンドを扱う同社への注目度も増すと考えたキーフェさんは、自社にWNSFへのスポンサー協力を打診し、実現に向けて好感触を得た。(写真=WNSFの昼食勉強会の様子) また、子どもが通う中学校の評議委員でもあるキーフェさんはグリーンビルディングの勉強会後、学校の改築計画についての建築士との会合で、校舎での自然エネルギーの採用を働きかけ、地熱発電の導入を確約させた。持続可能な社会の実現を願うキーフェさんのような女性たちが、WNSFの勉強会で得た知識やノウハウを生かしながら、企業内や地域社会に少しずつインパクトを与えている。 ◆CSR“優良企業”も注目 WNSFは、CSRへの継続的な取り組みで世界的にも知られる米カーペットメーカー、インターフェイスの米北東地域担当バイスプレジデントを務めるジョイス・ラバレさん(WNSF会長、写真)、ニューヨーク大学でCSRをテーマに教鞭をとるアン・グッドマンさん(同事務局長)、米長距離通信大手AT&Tの環境・社会貢献部門に勤務するクレア・クリゾフさんの3人の女性たちが、米政府・企業関係者とNGOが一堂に会して持続可能なビジネスや社会のあり方を話し合う「持続可能な発展のための大統領諮問会議」で知り合ったのがきっかけで02年に発足。03年にクリゾフさんが所属するAT&Tから初のスポンサー協力を得て、昨年秋から本格的に活動をスタートさせた。 女性は男性に比べて地球環境や社会全体の将来にわたる持続可能性を気遣う傾向にあるとする多くの調査結果に着目し、働く女性をターゲットにCSRやサステナビリティに関する知識を教育する機会を提供することをミッションとしたWNSFのような組織は、世界的にも例がないとみられる。このため企業側の関心も高く、現在ではエネルギー大手の英BPや製薬世界最大手の米ファイザーなど、CSRへの取り組みで定評のある企業群がスポンサーとして名を連ねる。 WNSFは今後も定期的に勉強会を開催しながら、米国内での支部拡大や海外の女性ビジネス団体などとの連携も視野に入れている。事務局長のグッドマンさんは「女性の関心が深いテーマで働く女性をエンパワーするのはもちろん、CSRに取り組むことで意欲ある女性を戦力として長く引き留めることができるという点を企業側に認識してもらえるよう、様々な機会を提供したい」と語る。(2006年1月掲載) |
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