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オーガニックスーパー、ただいま人気急上昇 O157にBSE、そして今度は鳥インフルエンザ。毎日の食に対する不安を抱かずにはいられない昨今、買い物をするなら有機無農薬栽培の食品や不必要な抗生物質を与えられていない肉や魚を買いたいと考える人が増えるのも無理はないが、時間のない勤め人にとってはなかなか難しい。しかし、有難いことに欧州では地球環境や私たちの健康に配慮して作られた食品や雑貨だけを扱うチェーン系のスーパーマーケットが最近各地に広がり、私も日々の買い物でお世話になっている。こうしたスーパーはBio(ビオ)スーパーと呼ばれ、衣食住すべての面で環境や健康に良い生活をしたいと望む人々から幅広い支持を受けて売り上げを伸ばしている。 ◆合言葉は「みんなのためのBio(ビオ)」 ビオスーパーでは、EUの有機認証を得た食品はもちろん、着色料や香料など不必要な化学物質を極力使わずに作られた洗剤や化粧品、天然素材の衣料品などを取り揃えている。これまでは、別々の店を渡り歩きインターネットを駆使しながら商品を手に入れていた人にとっては、一回の買い物で済むから便利になったことこの上ない。また、こうした商品は一般的に割高だが、安売りをうたい文句にするビオスーパーの登場で、一部の商品は価格面で通常のスーパーに引けを取らないまでになった。イタリアの有機食品情報誌ビオバンクの調べによると、欧州8カ国23社がチェーン系ビオスーパーを展開し、その数は約1450店舗に上るとみられる。ドイツでは最近、有機食品のほうが通常の食品よりも栄養価が高く、有機食品を食べ続けると体内の抵抗力が強まるとの研究成果も報告され、健康志向と相まって消費者の有機食品への関心がさらに高まる気配を見せている。 こうした“Bioブーム”の追い風をうまく生かして成長しているのが、ドイツの老舗、ベーシック(本社ミュンヘン)だ。同社は1998年、ドイツ初のビオスーパーをミュンヘンにオープンさせた。開店当初はなかなか客が集まらなかったが、マスコミ報道や口コミなどで3カ月後には連日大盛況となったそうだ。 その後も順調に店舗数を増やし、2000年にオープンさせたミュンヘン2号店はビオスーパーとしては欧州最大規模を誇る。不況の影響で昨年はドイツの有機食品業界全体の成長率が2%にとどまったのをよそに、同社の昨年の売上高は前年比55%増の2800万ユーロに達した。創業メンバーの1人で現監査役のゲオルグ・シュバイスフュルス氏は「環境保護などに熱心なこれまでの有機食品の購買層だけではなく、ベジタリアンの人であれ、肉食の人であれ、あらゆる食習慣を持ったすべての人たちに良質なオーガニック製品を買ってもらえる場を作り出すという創業当初からの狙いが当たっている」と話している。(写真=ゲオルグ・シュバイスフュルス氏) ベーシック創業から6年余。ドイツでは全国各地にビオスーパーが広がり、ブームにあやかろうと店舗の一角で有機食品を取り扱う既存のチェーン系スーパーも増えてきた。同社のキャッチフレーズ「Bio fuer alle (みんなのためのBio)」は、今や当たり前のこととなっている。 ◆本格的なビオスーパーの登場待たれる日本 有機食品の市場調査会社英オーガニックモニターーは、昨年の世界の有機食品市場が前年比約8%増となったと推計。その上で、有機食品市場の世界的な成長傾向は今後もしばらく続くと分析している。 日本は世界でも有数の有機食品市場の1つにもかかわらず、欧州のビオスーパーのような形式のスーパーマーケットとなると、まだわずかしかない。有機農家や有機食品専門の加工業者が絶対的に少ないためとみられるが、日本でもそろそろ本格的なチェーン展開のビオスーパーが登場しても良い頃だろう。(2004年5月掲載) |
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