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逆風下でも広がる米国の自然エネルギー 地球温暖化防止のための京都議定書への不参加を表明している米国では、ブッシュ政権下でCO2削減効果の高い風力や太陽光などの自然エネルギー普及を阻害しかねない施策が取られようとしている。しかし、連邦レベルからの逆風をよそに、各州は自然エネルギーを積極的に取り入れている。 米下院が4月半ばに可決したエネルギー法案には、自然エネルギーや省エネ技術開発向けの財政支援を行う裏で、主に石油や原子力などの既存エネルギー産業に対する187億ドルの減税実施も盛り込まれた。先に法案を可決した上院との修正協議は、アラスカ州自然保護地域(ANWR)内での石油・天然ガス開発解禁をめぐる点に集中するとみられ、このまま行けば自然エネルギーの推進を掲げながら「既に補助金漬け」(民主党下院議員)の既存エネルギー会社の生き残りに手を貸す矛盾した政策が実行に移されかねない。 これに対し、ワシントンに本拠を置く非営利の政策提言団体、米公共利益研究会(USPIRG)は「エネルギー問題に関しては、議会が問題を悪化させる政策を推進する一方で、各州のほうが問題解決に向けた取り組みでリードしている」と指摘する。 ブッシュ大統領は電力会社に一定割合の自然エネルギー利用を義務付けるRPS法の施行には一貫して反対姿勢を示しているが、USPIRGによると、RPSを採用している州は既に15州あり、10数州が導入に前向きな姿勢を示している。ニューヨーク州では、パタキ知事が向こう10年間で州内で販売される電力の25%を自然エネルギーとする方針を表明。今年3月には、著名投資家ウォーレン・バフェット氏の影響下にある電力会社が、アイオワ州に世界最大規模の陸上風力発電所を建設する計画も公表された。 USPIRGによると、米国の風力、太陽光、地熱、バイオマス(生物資源)による潜在発電能力は、現在の全米の消費電力の約4倍にも上る。USPIRGは「米国の持つ技術を生かせば、自然エネルギー利用をもっと進められるはずだ」としている。(2003年5月掲載) |
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