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2005年LOHASビジネス会議ルポ

 今や30兆円余の市場規模を誇る米国のLOHASビジネス。その立役者でもあるLOHASビジネス会議も、今年で9回目を迎えた。これまでは、LOHASビジネスの成長に必要なマーケティング戦略などが中心に話し合われてきたが、今年からはメディアを通じてLOHASの大切さをどう伝えるべきかというテーマに重点が移った。日本ではここ1年ほどでにわかに知られるようになったLOHAS。“本家”の米国では、メディアを巻き込みながら新たな展開を見せつつある。(写真=LOHAS9会場の様子)

◆台頭するLOHASメディア

 “Natural Health”(ナチュラルヘルス) 、“Body&Soul”(ボディ・アンド・ソウル)。米国では、有機食品やヨガ、代替医療などLOHASに関わるテーマを長年にわたって情報として伝えてきた雑誌を中心とするいわゆる”LOHASメディア“が、最近部数を伸ばしている。

 その1つ、ナチュラルヘルス(公称30万部)の最新号を開くと、有機食品を中心に据えた健康的な食生活のあり方や、化学肥料に頼らずに育てられる野草で裏庭を作る、といった特集記事が掲載されている。また、環境・社会問題を解決したいと立ち上がった読者たちの小さな行動を称賛しながら紹介する記事もある。日常生活の様々な局面でLOHASを実践し、自分だけではなく地球環境も健康にしよう−。これが、ナチュラルヘルスのメッセージだ。

(写真=LOHASメディアの数々)

 LOHASメディアの台頭を受けて、AOLなどの大手メディアも健康的なライフスタイルや自己啓発に関する情報を発信するサイトを増やしている。同社のジェフ・ロウ上級副社長は「以前は傍流、イコール売れないと見なされてきたテーマが確実に主流になっている」と話す。

◆LOHASを「褒めて広める」

 今回のLOHAS9では、アイデアやデザイン性に優れたLOHAS志向のビジネスやNPO活動を表彰するOutstanding Sustainable Style Achievement(OSSA)賞の授与式も合わせて開催された。

 OSSA賞には、「環境デザイン」「美容・ファッション」「食・レストラン」「スポーツ」「旅行」など計10部門で、前年度に大きな成果を上げた約50の企業やNPOがノミネート。アカデミー賞ばりの演出の中で各部門の受賞者が発表され、「プリウス」で米国のハイブリッド車市場を席巻するトヨタ自動車は「モビリティ」部門で受賞した。こうしたイベントも、LOHASの意義を広く知らせるユニークな仕掛けとして注目したい。(写真=OSSA賞受賞者の記念撮影《Sustainable Style Foundationウェブサイトより》)

◆ エコロジカルな「本物」志向が世界を変える

 LOHAS9ではこのほか、有機食品や自然エネルギー、水質・土壌浄化など成長著しいLOHASビジネスに投資する米国のベンチャー・キャピタル(VC)の隆盛ぶりも報告された。また、LOHAS志向の生活創造者の存在を明らかにしたポール・レイ氏は、環境に配慮し、かつ社会的意義のある商品とそれらについての情報を求める人々の「Authenticity(本物)」志向がますます高まっているとして、企業にもメディアにもこうした人々の要求に応える「本物」の商品や情報を提供することが求められていると説いた。

 LOHASに真に共感する企業やメディアが生み出すLOHASな商品や情報を、「本物」と見なして選択する一人一人の消費者(コンシャス・コンシューマー)たちの行動が世界を変える−。今年のLOHAS9では、そんな図式がほのかに見えたような気がする。(2005年6月掲載)

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