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2004年LOHASビジネス会議ルポ 今年で8回目を迎えたLOHASビジネス会議。これまでは、LOHASビジネスのベンチャー企業が集中するコロラド州で行われていたが、今回初めてロサンゼルスに場所を移して開催された。その狙いを、主催者側は「大手企業や主要メディアに、もっとLOHASビジネスに関心を持ってもらうため」と説明する。そんな彼らの地道な努力が実を結んでいるのは、ここ数年の米国でのLOHASビジネスの成長ぶりを見れば分かる。 冒頭に発表された最新調査によると、2002年の米国のLOHASビジネス市場は3510億ドル(約38兆円)に達し、2年前に比べて35%も増加した。中でも、自然エネルギーやリサイクルなど持続可能な地球環境に貢献する分野(48%増)と、ヨガや各種ワークショップを含む自己啓発分野(70%増)が大幅に伸びている。 ◆ビッグカンパニーの“LOHAS化”現象 これまでのLOHASビジネスを支えてきたのは、主に志の高い創業者に率いられたベンチャーとしてスタートした企業群だった。アウトドア用品のパタゴニア、オーラルケア用品のトムズ・オブ・メイン、LOHAS関連商品のインターネットショップで知られるガイアムなど。しかし、最近のLOHASビジネスの成長を語るには、フォーチュン500社に名を連ねるグローバル企業が、自らのビジネスにLOHASの要素を積極的に取り入れている動きを見逃す訳にはいかない。 例えば米自動車大手のフォード・モーター。同社が9月に発売する世界初のハイブリッドSUV「エスケープ」を引っ下げてLOHASビジネス会議に初めて協賛したことは、“大企業のLOHAS化”現象を象徴していると言えるだろう。フォードだけではない。製品のリサイクル率を向上させるため、使用するプラスチックの種類を最少化することに挑戦しているヒューレット・パッカード(HP)
。採掘跡地を植林によって再生する取り組みを続けるのは、アルミ世界最大手のアルコア。米雑誌出版最大手のタイムは、06年までに同社で使用する紙の80%を、環境に配慮して管理された森林認証を受けた樹木を材料としたものに切り替えると宣言している。原料からハード、ソフトに至る名だたる大手企業のこうした動きは、「LOHAS=ライフスタイル上の選択肢の一つ」という感覚が、「LOHAS=持続可能な地球環境にとって必要なこと」という認識に変わりつつあることを示しているのかもしれない。もちろん、そうであって欲しい。 ◆ハリウッドもLOHASに!? 今回の会議では、LOHASビジネスの魅力と社会的意義を、メディアなどを通じてどうPRするかということも大きなテーマだった。会場で紹介された環境メディア連盟(EMA、本部ロサンゼルス)は89年の発足以来、環境問題に無関心だったハリウッドのエンターテインメント業界に、環境問題を作品でどのように扱うかアドバイスしたり、環境問題に関心のある俳優をLOHAS企業に紹介する活動を続けてきた。EMAのデビー・レビン会長は「有名人もLOHAS商品を支持することが、自分のイメージアップにつながることに気付き始めている」と語る。こうした変化に呼応するように、LOHASビジネスを行う企業の支援に特化したPR会社も数多く生まれている。LOHAS“発祥の地”米国では、実際の製品やサービスだけでなく、メディアやPR戦略といったソフトな領域をも巻き込みながら、LOHASがさらにダイナミックに展開しそうな予感がする。(2004年9月掲載) |
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