1998.12.9発行 vol.17
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■特集企画■
<祝!! 派遣会社徹底比較アンケート結果大発表!>
〜こう読めばさらに面白い! 「きゃりあ・ぷれす」公式ガイドブック〜
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■派遣会社徹底比較アンケート結果大発表!
・メールで読むアンケート〜アンケート結果のご紹介
・ご回答をお寄せいただいた人材派遣会社の皆さまへ
・Making of 派遣会社徹底比較アンケート
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■派遣会社徹底比較アンケート結果発表
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ここ数年、派遣ワークに注目している人が多いようです。が、派遣会社の営
業所数は全国で2400以上、そのうえ、本当に知りたい情報を得る機会が少な
いため、自分に合った派遣会社がわからず、つい知名度や規模、イメージな
どに目を奪われがちです。
そこで「きゃりあ・ぷれす」では、従来型の比較アンケートや会社一覧とは
ひと味違う、派遣会社の「姿勢や方針、個性」「建て前ではなく本音」など
を探るべくアンケートを実施しました。対象派遣会社は約100社。すべてメ
ール形式によるアンケートです。
読者数2000人を超えたとは言え、ほとんど無名に近い本誌(メールマガジン
というものでさえ、まだなかなか認知されていません)からの問いかけに、
一体どれだけの派遣会社が応えてくれるんだろうか? もし1社も回答がな
かったらどうしよう? 不安でドキドキしながら開けてみれば、なんと”26
社”もの派遣会社から回答をいただきました。各社の姿勢や個性が予想以上
ににじみ出ている・・・というのが率直な感想です。
それらの集計結果をホームページにて大公開いたします。
アンケートは、ホームページ化するにあたって見やすくレイアウト、編集を
しました。また集計結果には、編集部コメント、派遣業界に詳しい専門家の
分析も加え、さまざまな発見ができるようになっています。すみからすみま
でチェックしていただけると、さらにあなたなりの発見があるかもしれませ
ん。
派遣スタッフとして働いている方はぜひ今後の派遣会社選びやキャリアアッ
プのご参考に。またこれから就職・転職を図ろうと考えている方にとっても
必見です。
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■メールで読むアンケート〜アンケート結果のご紹介
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登録スタッフ数100人から12万人までの幅広い規模の会社が答えてくれた
「派遣会社徹底比較アンケート」。その6コーナー、全20問にわたるアンケ
ート結果のなかから、ほんの一部を抜粋してご紹介します。詳しくはホーム
ページでたっぷりご覧ください。
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●思わず本音続出、「こんな人は登録してほしくない!」
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もちろん「登録してほしいスタッフ像」についても質問しています。が、こ
れは各社、大差なし。結局は「スキルと社会人としての常識を持った人」に
集約されます。注目は「こんな人は登録してほしくない」ほうの答え。「登
録してほしい〜」に比べ、こちらは具体的かつ本音たっぷり。たとえば「自
分のスキルを強調する人」「ケンカごしの人」「私用電話の多い人」「条件
にうるさい人」「偽りのスキルの人」「字が汚い人」などなど。きっとこん
な人たちに大迷惑を被ったであろう担当者たちの悲鳴なのでしょう。なぜか
ここは妙に具体的でモロ肉声という印象を受けました。でもいろんな困った
チャンがいるもので、笑えました。身に覚えのある人はいませんか?
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●意外!年齢制限の壁の真実。驚愕!最高年齢
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派遣スタッフとしての大きな壁、年齢制限。募集広告を見ると多くの派遣会
社が35歳から40歳を登録の上限としているようですが、「本当に年齢制限は
あるの? その理由は?」と聞いてみたところ、意外な答えが……。さらに
各社の「実際に稼働しているスタッフの最高年齢」についての答えには編集
部が驚愕の声をあげてしまったほどです。
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●気になる各社のスタッフフォロー度は?
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派遣スタッフにとって大切なのは「登録会社がどれだけ親身にフォローして
くれるかどうか」とよくいわれますが、稼働スタッフ数と内部スタッフ数の
関係を調べればある程度その手厚さがわかるのでは、と思い、聞いてみまし
た。その数字を基に編集部が独自に「内部スタッフ一人あたりが担当する稼
働スタッフ数」を算出した結果、なんと2.5人〜83.3人とすごい大差が出てし
まいましたが、
1 稼働スタッフ数のカウント方法に各社違いがある(と思われる)
2 内部スタッフの人員は、長期の仕事がメインだと少なくてすむが、単発
の仕事が中心だと多くなる傾向にある
3 系列会社か非系列会社かによる違い
など考慮すべき点があるため、一概に比較することはできません。あくまで
も目安としてお考えください。
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●スタッフ対応、各社現在の状況と今後の予定
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いまや健康診断、有給休暇は基本。昇給や交通費支給も半数以上の会社で実
施しています。また、これから実施したいもののトップは皆勤手当で、待機
手当についての実施意向は低いという結果が出ていますが、専門家は「レベ
ルの高いスタッフを確保するため、今後増える傾向にあるのでは?」とコメ
ント。
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●派遣についての考え&派遣を考えている人たちへ……各社メッセージ
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派遣のメリット、デメリット、現状の厳しさを踏まえた各社のコメントコー
ナーには、建て前を超えた声が多く寄せられました。「だれにとってもいい
システムとは思わない。ちゃんとした目的とある程度の期限を自分で決めて
働いてほしい」「将来性のある働き方だとは思うが、まだ法制度をはじめと
した条件の整備と、スタッフ側の意識と派遣先企業の認識を高めていく必要
を感じています」「上手に自己PRをしながら、より希望に近い仕事を得てリ
ストラに負けない体質を作る。そのために最もあった派遣会社を選んでほし
い」「いつも前向きであるスタッフさんたちを応援したい」「どんな労働形
態で働くかは、個人の意志により自由に選択されるべきもので、その選択肢
が増えれば増えるほど自分らしく、バラエティにとんだ人生を設計できるは
ずです。私どもの会社が32年前に米国から派遣を導入したのも、日本人の生
活を、精神を、より豊かにしたいという願いがあったからです」「就社では
なく就職をし、自己実現を図っていけるひとつの働き方」などなど。
ホームページでは文字が小さいので少々読みにくいのですが、派遣会社の肉
声がつまった貴重なコーナーです。そしてこれは派遣に限らず、働くうえで
のヒントだと思います。ぜひぜひ一社残らず目を通してみてください。
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■ご回答をお寄せいただいた人材派遣各社の皆さまへ
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アンケートのお答えいただいた人材派遣各社の皆さま、この度は大変お忙し
い中、ほとんど無名の私たち「きゃりあ・ぷれす」のかなり立ち入った質問
項目にご回答をお寄せいただき、誠にありがとうございました。これからの
企業にとって情報公開は、その評価にかかわる大きなファクターだと考えま
す。その意味でご回答いただいた26社様には、情報公開の姿勢に対して僭越
ながらプラスポイントをつけさせていただきたいと思います。今後とも
「きゃりあ・ぷれす」をどうぞよろしくお願いいたします。
また今回のアンケート結果について、ご感想などお寄せいただければ幸いで
す。
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■Making of 派遣会社徹底比較アンケート
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「編集者になりたい」。そんな”SOHO幻想”ならぬ、”編集者幻想”を
抱いた私がこの世界に飛び込んで、もう1年。そんな私のはじめての仕事
が、「きゃりあ・ぷれす」の企画の仕事。この1年を振り返りつつ、派遣会
社徹底比較アンケートメイキングをルポしたいと思います。
<97年12月>●はじまりは「派遣会社ミュシュラン」
派遣会社徹底比較アンケート。
この壮大にして、無謀ともいえる企画が生まれたのは、ほとんど「きゃり
あ・ぷれす」発足の時期と一致する。97年12月の編集会議上でのことだ。
この日は編集部M、F、Kの3人のほか、ウェブに詳しいプランナーのS氏
(男性)も会議に参加してくれていた。
全く違う業界から転職し、編集未経験の私は目の前で繰り広げられる3人の
会話を聞きながら、メモを取るだけで精一杯だ。
M「派遣スタッフが一番気にすることってなんだろう〜」
発行人であるMがニコニコと言った(実は単に顔の造作がニコニコ顔なだけ
なのだが、そのことに私が気がつくのはもっとずっと先の話である)。
F「やっぱり派遣会社の存在も大きい部分じゃないですか? 賃金などの契
約を企業と結んでくれるのは派遣会社だもの。派遣会社の働きによって、ず
いぶん待遇とか変わってきそうですし…」
Fは生っ粋の(?)編集者だ。おそらく「三度の飯より編集が好き」に違い
ないと、当時の私は推測していた(実際はお酒の方に目がないことを知るの
は、やはりもっとずっと先の話である)。
M「でもさあ、いろんな派遣会社があるじゃない。どこの派遣会社が一番良
いのかなあ〜」
F「そうですねえ…。読者の方にいろいろアンケートして、感想を聞くって
いうのも手ですよね」
M「”派遣会社ミシュラン”っていうのはどう? 読者に聞くんじゃなくて
各社にアンケートをして、普段聞きにくいことなんかもズバっと聞いてさ。
きちんと編集部で客観的にランク付けをする」
S「それ、おもしろいですね。絶対やった方が良いですよ!!」
F「そうね。”派遣会社ミシュラン”なんて、みんな絶対見たいと思うわ」
今思えば、その場の雰囲気といったものもあったのだと思う。
幾分ムードに弱い私が後先考えぬまま、
「派遣会社ミシュランですか? いいですね〜!」と思わず同意してしまっ
たのを、一体誰が責めることができるだろうか。
しかし本当はその時、私はなんとしてもその企画を止めるべきだったのかも
しれない。それに気がついたのは、やはりもっとずっとずっと、先のこと
だった。
<98年8月>●走り出した企画
企画したまでは良かったけれど、結局いろいろな都合から実際に動き出した
のは8月下旬からだった。当時の登録者はおよそ2000人。企業へアンケート
協力を求めるには、せめて5000人はいないと難しいと感じていた私たち編集
部だったのだが、登録者数もここにきて伸び悩んでいたため、思い切って実
行に踏み切った。母体の小ささが私たちの最大の不安だったのだ。
「どんなことを聞こうか」「今までほかの情報誌でなかったようなものがい
いね」「派遣会社の個性とか雰囲気とか、本音が現れるようなものを作りた
い」編集会議でそんないくつもの会話が積み重なっていった。結局、形式
は”ミシュラン型”はどうしても作成が難しいことがわかり、個性や本音が
わかる”コメント&情報提供型”のアンケート形式に落ち着いていった。
一番面白かったのが派遣会社の深層心理を探ろう!という考えから、心理テ
ストなる問題を作ろうというもの。これは本当にいろいろと真剣に考えたの
だけれど、そのうち考えているこちらの頭が混乱してしまった(実はこの問
題は少し形を変えて残っている。さて、どの質問項目かな?)。ほかにもメ
ールマガジンの読者に聞きたい項目を募ったりして、質問を作っていった。
何度も修正や加筆を繰り返し、なんとかアンケート用紙が完成した頃には、
もうヘトヘト。私の中で「これは結構大変なことなんじゃないか…〜」とい
う、ヤバいかも感が芽生えたのもこの頃だった…。
<98年9月>●いよいよアンケート企画実行!!
その後、リストアップした派遣会社へメール形式でアンケート用紙を送付す
ることに。一部メールアドレスがないところには電話でお願いもした(しか
し私の説明があまりにもたどたどしかったせいだろうか。「得体の知れない
奴」と相手の不信感と警戒心を煽り、電話作戦は失敗に終わった…)。
まあ、ひとまずリストアップされた会社へメールでアンケートを送ることに
は成功。つかの間の休息を味わい、待つこと2週間あまり。
「もし1社も回答がなかったら、どうしようか」
「少なくとも、4社くらいは同情して返信してくれるんじゃないかな」
「あ、いま1社から回答が返ってきました! それから他の派遣会社からお
問い合せの電話も!」
そんな風に、まるで選挙速報を見守る後援会のように返信されるアンケート
の動向を、一喜一憂しながら見守る2週間が過ぎていった。
結果は、なんと(!)計26社から回答をいただくことができた(これは一喜
一憂見守りつつ、催促メールも送った我々のしつこさと根回しのたまもので
もある)。編集部の想像以上の収穫で、思わず”当確”のガッツポーズ!
やったね!
<98年10月>●集計作業スタート
S氏による集計作業を待ち、その後全体傾向を探る作業に入る。
3人でワイワイと分析しながら、ホームページ上でどんな風に見せていくか
を検討する。「やっぱり見せ方がとても大事だよね。せっかくこちらが用意
した質問に答えてくれた派遣会社にも悪いし」「たくさんの人に見てもらい
たいなあ……」。そんな風に打ち合わせを重ねるうちに、やがて全体像がか
すかに見えてきた。それをFがラフにする。私はそれを元にホームページを
構成するパーツの指示書作成に入る。
こうして作業がさらに具体的になり、忙しさも増してきた。回答社数26社と
はいえ、アンケートには約35以上の問題があるから単純に計算すると、1000
以上の回答をひとつひとつ手作業で確認しながらの作業はとても地道で根気
のいる作業だ。基本的に飽きっぽい射手座の私には、とてもつらい作業の連
続だったなあ…。
<98年11月>●M、F、アンケート企画より離脱! 募る危機感
その頃、新しいプロジェクトが急に発生する。MとFは通常業務に加えて、
そのプロジェクトで手がいっぱいに。
「私たちはメールマガジンに関われないケド、そのぶん、Kさんがんばって
よね!!」そんな熱〜い激励を受けつつ、情報量の多さにめまいと確実に蓄
積される疲労を感じていた。
もちろん2人とも別の仕事が忙しいから、みんな毎晩ばりばり残業すること
に。机を並べているFから夜食の話が出るころには、時刻はすでに9時を
回っている。残業時、夜食でなにを食べるか考えるのは秘かな楽しみだ。
「今日はなにを頼みましょうか?」「あ、今日は栗ご飯ですね。おいしそ
う!」「じゃあ、マイタケとトレードね」。そこにはほんの一瞬、心温まる
光景が広がるのだった…(別に、いつも殺伐とした雰囲気が流れてる訳じゃ
ないんですけどね)。仕事が終わって地元桜木町の駅に着くのは12時近く。
「編集は噂どうり、残業が多いなあ」ぼんやりと桜木町駅で次に乗る電車を
待つ間、みなとみらいのライトが、ちょっとだけ疲れた気持ちを癒してくれ
た。
<98年12月>●ホームページ作成終盤
指示書が完成し、それを元に同僚のデザイナーがホームページを作り上げて
いく。その作業終了を待って、後はそれぞれのページを確認していくだけ
だ。
…しかし出来上がってみると、「見やすさ」と「デザイン面」で、こちらサ
イドが想定していたものとはギャップがあった。私の段取りのまずさもあ
り、修正の依頼は簡単にはいかない。自分のキャリアのなさがこたえたし、
悔しかった。しかしこれも今思えば、「良い勉強」だったのかもしれない。
こうして順に追っていくと、ずいぶん作業工程が多いのがわかると思う。試
しにひとつずつ追っていくと工程は25以上にのぼった。冷静に考えれば、こ
の予算もなく出版予定もない自主プロジェクトの企画に、こんなに労力をか
ける必要なんてないのではないだろうか。そんな疑問を持ったこともあっ
た。しかしMもFも一度も手を抜いたことはない。むしろ2人とも、他の業
務以上の熱意を持っているように感じた。私一人が手を抜ける訳がない。
そして読者が待っているんだと思うと、やはり中途半端なことはできない。
考えてみれば読者が、「おもしろい」「ためになる」と応援してくれるから
こそここまで続けられたのだと思う。
「きゃりあ・ぷれす」も。編集者見習いの私も。
いよいよ明日がホームページオープンの日だ。どのくらいの反響があるんだ
ろうか? 楽しみ半分恐さも半分。クリエイティブな仕事のむずかしさを肌
で感じつつ、その裏側のドキドキするような「おもしろさ」も知ったのが今
回の企画である。(河内)