1998.4.14 発行創刊号
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■「きゃりあ・ぷれす」創刊号について
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3月27日のお申し込み受付開始から3週間。多くの方のご登録をいただき、
まことにありがとうございます。
予想以上のリアクションに編集部一同、身の引き締まる思いです。
さっそく創刊号をお届けいたします。
「きゃりあ・ぷれす」 は読者の皆さまと一緒に作っていくメールマガジン
です。積極的なアクセスをお待ちしています。

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■創刊にあたって
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「きゃりあ・ぷれす」創刊のご案内をウィークリーまぐまぐ誌上にのせ、ご
登録いただいた方に創刊準備号を配信しましたところ、既にいくつかのリア
クションをいただいています。多くの女性が、仕事について、派遣について、
そしてキャリアプランニングについて真剣に考え、悩み、迷っていることが
うかがわれます。
しかし、これまで常識とされ、不変のものと考えられてきた様々な既成の日
本型システム=官僚システム、金融システム、雇用システム、教育システム
などなど・・・が破綻をきたし、大変革を迫られている今、こうした不安や
危機感を抱くのは、ある意味ではむしろ健全だと言えるでしょう。
すべての価値観が大きく変わろうとしているのです。
人生のなかでそれなりの位置を占めている「仕事」についても当然例外では
ありません。ひとりひとりの仕事に対する考え方、働き方も変わっていくべ
き時代を迎えています。その過渡期には、様々な不安材料や判断に迷うこと
が発生します。しかし、そういうものに遭遇して自分の仕事を見つめること、
真剣に考えることからしか次のコンセプトは決して見えてきません。
そして方向性のない働き方は、報われることの少ないただの「労働」になっ
てしまうでしょう。
もし今、危機感や悩み、迷いを感じない人がいるとすれば、むしろそのこと
のほうがよほどキケンなのです。
もはや「花のOL」など、「花の女子大生」と同じように、存在しないのです。
むしろ存在しないほうが本来あるべき社会だと思います。あれはバブルのあ
だ花だったのです。
これからは、大企業の正社員だから安全で安心ということはありません。
会社の意向に沿った仕事内容に対応しつつ、貪欲に自分の能力を高め、評価
されなければ給料のアップは望めないでしょうし、ただのイエスマンや向上
心のない役たたずの社員に高給を払っているような会社は、会社自体が危う
くなるという時代です。
正社員であろうが、派遣スタッフであろうが、もちろんフリーランスや今、
もてはやされているSOHOの人々だろうが、「てきとーにやっていればギャラ
がもらえる」なんて人は誰一人いなくなる、厳しいけれど考えようによって
は明快な社会になっていくのだと思います。
この時代への認識と対応は、これまでの既成の枠組に守られて何の疑問も感
じずに安閑と、あるいはひたすら生きてきた人ほど鈍いものです。
生え抜きの男性正社員などがその筆頭かも知れません。
この「きゃりあ・ぷれす」に興味をもち、登録された方々は、漠然とではあ
っても危機感をもって、現在のそしてこれからの自分の働き方について考え
ようとしていらっしゃる方にちがいありません。
これからの時代を、より自分らしく、より充実して生きるための賢いキャリ
アプランニングにこのメールマガジンが少しでもお役に立てれば幸いです。

                             宮崎郁子

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■派遣のススメ
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3月27日付の朝日新聞によると、2月の完全失業率が3.6%と過去最悪
記録を更新したという。日本経済の状況からすると「この程度の失業率に抑
えられたのが不思議」だとも書かれてあった。世界に目を転じてみると、好
況に沸くアメリカでさえ4.6%(2月)、ドイツはなんと11.5%(2
月)、フランスにいたっては12.1%(1月)というから恐ろしい。こう
してみると、日本の数字が不思議どころか奇跡にしか思えなくなってくるし、
今後の記録更新も避けられないだろうと確信を持ってしまう。
有効求人倍率は1.85倍(73年度)がピークだったが、最近では1.44
倍(91年度)という山を経て低下し、96年度は0.70倍となり最新のデータで
は0.61倍(98年02月)だそうだ。もう求職者があれこれ仕事を選べる時
代ではない。に対して、派遣社員の有効求人倍率は、2.39倍(96年度/
労働省発表データから算出)という驚異的数字をマークしている。
が、いくら派遣社員の求人が高いといっても、依然として正社員志向の人が
多い。男性、女性に限らず、終身雇用に慣れ親しんできた日本人の特性から
すると、派遣の有期雇用には大きな抵抗があるのだろう。また、派遣を選ぶ
人も「チャンスがあったら正社員になりたい」という本音を持つ人が少なく
ない。派遣はあくまでも一時的避難の場所としての捉え方で「でも・しか」
派遣、ネガティブ派遣が現状かもしれない。自信と誇りをもって派遣を選択
する人はまだごくごく一部の人なのだろう。
派遣に抵抗を感じる人のほとんどは、正社員を基準に比較しているようだが、
では、なぜ正社員に魅力を感じるのか。正社員の何にこだわるのか。
「雇用関係の長期安定」?「給与、ボーナス、退職金」? 「社会保険」?
「福利厚生」?……もしかしたら世間体なんていうものもあるのだろうか?
本当に正社員がベストなのか、その検証を行なってみよう。

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■正社員至上主義や正社員幻想、いつまで信じているの?
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●雇用関係の長期安定
一つひとつの仕事に対してきちんと契約を交す派遣は、契約期間終了と同時
にその仕事から離れる。その後の仕事がすぐに決まる場合もあれば、しばら
くブランクになることもある。こうした働き方は、確かに不安定という印象
がつきまとう。
それに比べ、企業に属する社員はいったん入社したら自分が退職を望まない
限り(あるいはよほどの事件を起こさない限り)定年まで勤め上げられる。
いわゆる終身雇用制。これは安心だった。「可もなく不可もなく」の人も、
仕事は仕事と割り切り「腰掛けOL」後に寿退社する人も、ただ真面目なだけ
がとりえの人も、終身雇用とセットである年功序列に守られ、実力も人望も
ないのに上にたてる人も、みんなみんな安泰だった。
が、これはあくまでも高度経済成長とバブル期に支えられた過去の話。これ
からは、たとえ正社員であっても安閑としていられない。もし、これまで通
りの社員温存方式(いったん入社したらどんな人に対しても生活の保証をす
る)を通す企業があれば、その企業自体の存続すら危うくなる時代に入って
いる。
おうおうにして、正社員としてのぬるま湯に長くつかっていた人ほどこのあ
たりの認識が甘い。その点、契約という経験を積んでいる派遣社員のほうが
情勢を読む力が秀でているのではないだろうか。
●賃金面での高待遇
年功序列・右肩上がり方式の日本の賃金は、当然、世界レベルから見ても高
い。某コンサルティング会社の人によると、「日本では、有名広告会社の事
務職(31歳)の年収が600万円という例も珍しくない。が、アメリカなら
事務職の年収は2万5000ドルから3万ドル(日本円にして約325万円〜3
90万円)」という。
この差は、アメリカが業績に見合うだけの賃金を払うという成果主義賃金体
系を採用していることに起因する。成果主義賃金体系とは、年齢に関係なく、
仕事の種類やレベルで賃金が決まる、かなりシビアなシステムだ。10年後、
日本でこの方式を採用する企業は過半数になる、という予想もある。そうな
れば、企業が必要とする能力を有する人には高い賃金が、そうでない人には
低い賃金しか支払われないという二極化が進むのは必至だ。
実際、すでに日本の企業でも、アメリカ式のシビアな成果主義賃金体系とま
ではいかないまでも、これまでの横並びの昇給制度に終止符を打ったり(横
河電機)、社員全員が年俸制となり、30歳で100万の年収差が出るなど
(日本オラクル、マイクロソフト)、大改革はすでに始まっているのである。
もはや、半外資系感覚といえるだろう。

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■もう一度、仕事と向き合ってみよう
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と、おおまかに書き出してみたのだが、いかがだろうか。
もちろん、正社員にこだわるかどうかは個人の自由である。
ただ安易に「これまで」の正社員のメリットにとらわれている人はあまりに
も鈍いのではないか、これまでのシステムが永久に続くと思い込んでいる人
は危険だよ、危機管理がまるでなってないよ、と忠告したいとは思う。
また、誤解のないようにしておきたいのだが、このメールマガジンは、世の
中から正社員がなくなる、と脅したり、総派遣社員化を図るためのものでは
ない。
ましてや、正社員だけが厳しい局面に立たされていて派遣社員は得だよ、と
いうものでも決してない。会社に保証を求める時代が終焉を迎えつつあるこ
とを認識したうえで、これからの仕事を考えてほしいのである。これまでの
働き方が通用しない大変革の時代だからこそ、仕事に対する既成概念をニュ
ートラルにする必要性があるのだ。
ニュートラルにしたうえで、いま一度まっさらな気持ちで、真剣に仕事を考
え直してみよう。本当にやりたい仕事は何なのか。今後、どんなふうに働い
ていきたいのか。自分らしく働くにはどうしたらいいのか。もしかすると、
仕事そのものではなく、会社のブランドに魅力を感じていたのではないか?
就職でなく、就社だったのではないか? etc.……

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■なぜ、派遣をすすめるか
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こうした時代認識の上で、この「きゃりあ・ぷれす」がなぜ、派遣情報を中
心に据えているのか、について触れてみたいと思う。
前述のように、ニュートラルな視点で仕事に向き合えば、おのずと正社員以
外のワーキングスタイル=派遣、契約、フリーランス、SOHOなども視野
に入ってくるはずで、つまり可能性が増えてくる。そのなかから自分のライ
フスタイルやキャリアプランニングに沿ったものを選択してほしい、という
のが、私たちの提案なのだが、そうしたときに注目したのが、派遣会社のシ
ステムだ。たとえば、
●スクール(OAや英会話等)の充実と割安な料金設定
●社会保険にも加入できる
●福利厚生の面でも無料定期健康診断や施設利用が可能
●希望の職種と期間が選べる
●仕事の需要が高い=主体的に仕事が選べる
●スキルアップが収入アップに直結する
●ボーナス制度を導入している派遣会社もある
などである。もちろん、正社員という雇用形態同様、派遣にもメリット、デ
メリットはある(これについては次号で詳細掲載予定)し、派遣会社によっ
てバラツキもある(これについても近々詳細掲載予定)。それを踏まえたう
え(その前に正社員への盲信を捨てることが大前提だが)で思うのは、派遣
というシステムを有効に活用することによって、スキルアップやキャリアプ
ランニングがしやすくなるのではないか、ということだ。それもSOHOや
フリーランスに比べたら正社員に近い感覚で、無理なく。

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■とりあえず、自分の時間を大切にしてほしい。
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いまだにTVなどで、OLとおじさん社員たちのたわいもない、のんきなバ
トルがドラマになっていたりするが、こんな天下泰平は前述のようにすでに
過去の話だ。(実は、平和に見えるこの間もOLやおじさんは大変な時間の
ムダをしているのだが、会社がムダを許してくれて存続しているうちはそれ
に気づかなくても良かった。)
でも、残念ながらその平和は終わってしまった。
もしあなたが、毎日雑用に追われて仕事や職場がつまらないと不満を同僚と
こぼしあっているなら、その時間はあなたにとってムダだし、つまらないこ
とをガマンしたからって給料は上がらない。
もしあなたが求職中で、何がなんでも正社員と何の勉強もせずに採用試験や
面接を受け続けているなら、それも大変な時間のムダだ。前述の有効求人倍
率に見るように、なかなか採用が決まらないのは、必ずしもあなたが悪いの
ではないのだ。そういう時代なのだ。そして、前のようには決して戻らない。
もしあなたが、いずれフリーランスやSOHOをめざしたいと思っているな
ら、ただパソコンを買ってパソコン教室に通っても、そこには到達できない
だろう。様々な場を経験して実戦力をつけること、人脈をつくること、何よ
り契約という概念を身につけることに時間をかけるべきだ。
もしあなたが、このような人なら、私たちは、派遣システムを大いに活用す
べきだと提案したい。
が、「でも・しか」派遣では、派遣会社と派遣先企業にとって単に都合のい
い労働力でしかないわけで、派遣のシステムは働く意識の高い人しか有効活
用することができない。それができる派遣社員は必ず社会が求めるスキルが
身につき、主体的に仕事が選べるようになる、というのが「きゃりあ・ぷれ
す」の考えだ。
派遣システムは確かに、雇用者側の経済論理から脚光を浴びていることは否
めない。しかし、かつての社畜的正社員だってそうだったのだ。要は自分の
生き方、働き方を見つめ、そのシステムを自分のためにどれだけ賢く活用で
きるかではないだろうか?
派遣社員に限らずどんな人も、誇りと自信を持って仕事やワーキングスタイ
ルを選び、力を磨き続ける。頑張った人がちゃんと報いられる。こんな社会
は明快で何ともすがすがしいのではないかと思う。そして、真摯に自分の仕
事を模索する人には、有益な情報をより多く提供することで私たちなりの最
大のエールを送りたい、そう思っている。