2009.1.28発行 vol.290
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【特集企画】
       「天職を探せ〜がんばれ新人編〜」第18回        
       社会企業家を知りたい、目指したい。     
      学生団体「SОL(エス・オー・エル)」代表末原弘喜さん

 

【連載企画】     エディターズ・アイ Vol.2

      〜 旧暦のお正月を迎えました!新年快楽 〜

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       「天職を探せ〜がんばれ新人編〜」第18回       
       社会企業家を知りたい、目指したい。     
      学生団体「SОL(エス・オー・エル)」代表末原弘喜さん
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今回の特集は、「天職を探せ〜がんばれ新人編〜」です。学生による学生の
ための「社会起業家シンポジウム」でお会いした、主催者SОL代表の末原
弘喜さんにご登場いただきました。イベント内容の充実具合、そしてお話に
「これからの日本も捨てたものじゃない」という希望を抱きました。
                       (発行人 宮崎郁子)

宮崎 今大学3年生ですよね。学生団体「SОL(エス・オー・エル)」とい
    うのを立ち上げ活動中ですが、どのような活動ですか?
   
末原 SОLは社会起業を知りたい、目指したいという学生が集まって、社
    会起業家の活動を広めたり、社会起業を実践するために立ちあげた団
    体です。主な活動として社会起業家にインタビューをして配信するサ
    イト『Socialcretor's WEB magazine -ソル-』や、社会起業家や社会
    起業家を目指す学生たちの交流会『SОL.bar』。そして社会起業を目
    指して活動を始めた、渋谷で行っている廃棄されたビニール傘のリユ
    ースプロジェクト『シブカサ』、こちらは運営を始めて約1年、地域
    の皆様にも受け入れられ店舗数は35店舗、着実に活動を広げつつあり
    ます。
    まだシステムは整え始めたばかりなので、安定して傘を供給するため
    に電鉄会社から傘を協賛でいただいたり、企業にスポンサーについて
    いただくお願いをしたりなど、これからもっと活動を広げていけるよ
    うな体制にしていきたいと思っております。
    そして先日開催したのが社会起業家シンポジウム、『Hungry for Mis
    sion』です。こちらはたくさんの社会起業家にご支援をいただき、1
    60人の学生が集まるシンポジウムとなりました。

宮崎 先日、その社会起業家のシンポジウムに協賛し、参加したのですが、
    とてもエキサイティングなイベントでしたね。

末原 そうですね。今回は女性社会起業家の方々に講演をしていただいたの
    ですが、私自身もとてもパワーをいただき、熱い気持ちになりました。
    終わった後に泣いている方もいらっしゃったり、アンケートでもとて
    も良い評価をいただくことができました。開催して本当に良かったで
    すね。

宮崎 こうした活動を始めようとしたキッカケを教えてください。
    何でも高校時代は、あまり学校にも行かず、プログラマーとして在宅
    で稼いでいたんですって?

末原 学校に行っていなかったわけではなかったのですが、帰ったら即パソ
    コンを付けて、寝てご飯を食べる以外はネットの世界に入り浸る毎日
    でした。最初はネット上でのコミュニケーションやゲームにどっぷり
    はまっていたのですが、次第にそのシステムの方にも興味が出てきて
    ネットの友人に聞いたり自分で調べたりでプログラムをいじり、たま
    たま運よく稼ぐことが出来ていた時期もありましたね。

宮崎 稼げていたんだったら、大学に行かなくてもいいし、行ったとしても
    プログラマーを仕事にすればよかったんじゃないですか?

末原 一番稼げていた時は月100万程度だったのでそういう手もあったか
    もしれません。しかしながら「一応」受験を控える身の上であったり
    バブルのように消えていくビジネスだったので手を引くことにしまし
    た。その時は悔しかった部分もありましたが、今思うと正解だったと
    思います。ネットの世界に入り浸ることで失ったものも多かったんで
    すよね。
    例えば大学に入ってから気付いたのですが、高校で友人と過ごした楽
    しい時間というものがそこまでないんですよね。それはネットの世界
    に入り浸りすぎて、まともなコミュニケーション方法を忘れちゃって
    いた部分もあります。
    僕が思うに普通の対面のコミュニケーションで内容の100%が伝わ
    るのだとすると、音声のみの会話は20%程度、そして文字の会話は
    2%程度なのだと思います。ネットの世界で会話していた時期はその
    2%で100%の会話をしていたんですよね。
    だからその時期は非常に言葉は気にするようになったけど、エモーシ
    ョナルな部分を表に出さない人間に見られていたと思います。

宮崎 転機はいつだったのですか?

末原 私が一番初めに会った社会起業家(Wise-Wiseの佐藤社長)と話して
    からだと思います。
    青山学院大学のOB会を佐藤社長のオフィスで行っていた時に偶然参
    加したのですが、今までに味わったことのないほどの本当に心地よい
    空間でした。それは人と人とが良い関係で繋がり、楽しい雰囲気に包
    まれていたからだと思います。普段自分からは話せない方なのですが
    気付いたら社長に話しかけていて、二階のオープンスペースで二人で
    話し込んでいました。そこで社会起業家の存在を知りました。その企
    業が行っていることは発展途上国の人々の生活や環境のことまで考え
    ている優しいビジネスで、人や環境のことについて徹底的に考えてい
    るビジネスってカッコイイなと思いました。
    元々インターネットの世界で活動をしていた時は、目の前のモニター
    の数字や文字の羅列を追っかけていたりを延々繰り返すだけの世界で
    した。その時は本当にコミュニケーション能力が足りていなかったな
    とおもいます。勿論学校には行っていましたし、学校で話す友達はた
    くさんいましたが、何か自分は友達の輪に深く入り込めなかったんで
    すね。それは自分がうまく物事を伝えられないだけなのに、それを全
    て友達が理解してくれないからだと責任転嫁をしていたからだと思い
    ます。
    そういう意味では、自分事を通り越して相手のことまで考えて徹底的
    に行動する佐藤社長の話は衝撃的でした、その時は社会起業という言
    葉を知りませんでしたが、ぼくはこんな大人を目指したいと思いまし
    た。それが社会起業家を目指すきっかけになったのだと思います。

宮崎 卒業したら、本格的に社会企業を目指すのですか?

末原 今あるシブカサを大きく前進させつつ新しいプロジェクトを作り、収
    益もしっかりと出して持続させていきたいです。今は広告代理店でイ
    ンターンもしており、そこでビジネスの基本やコミュニケーションを
    学び取りたいと思っています。
    ボランティアとビジネス、二足のわらじですすめていき最終的にはそ
    れを融合した社会起業を興すのが理想ですね。

宮崎 広告代理店のスタンスとソーシャルビジネスとは、表面的にはどうあ
    れ、実は真逆の指向性だと思うのですが。

末原 私は人や環境を大事にしたいと思っておりますので、身近なものを幸
    せにする意味では全く一緒のものだと思っております。仕事の場合は
    クライアントや消費者、共に働く従業員がそこに関わってきますよね。
    ボランティアや、恋愛、友人関係、環境にもそれぞれに関係者がいて
    その人たちを幸せにするには円滑なコミュニケーションを取り真剣に
    取り組む必要があると思っており、複数の場所に身を置いて、色々な
    価値観や指向性の中で活動する方がよりおもしろいものが見れるので
    はないかなと思っております。

宮崎 なぜ社会企業をめざすのですか?

末原 社会起業はとても芸術的なビジネスだからだと思います。お客様が喜
    ぶものを生産しつつ、自分や社員の暮らしを満たす。その上環境や社
    会問題に対して貢献をしている。みんなをハッピーにすることができ
    しかも誰にも負担をかけない。世界にいる全てのものと良い関係を築
    ける、これほど幸せなものもないと思います、だから僕は社会起業を
    目指したいと思います。

宮崎 末原さんがイメージするなりたい自分とは、どのようなものですか?

末原 コミュニケーション力が高く、日々を楽しく暮らせる自分になること
    ですね。仕事、恋愛、友人関係、家族関係が楽しくて、自然ともより
    良く繋がれている、それってとても幸せなことだと思います。それを
    達成するためには相手を感じ取り想うコミュニケーション能力が必要
    で、僕が高校時代に足りないと思っていたのはこの部分なんだと思い
    ます。一日一日を楽しく過ごすために、着実に成長しつつ生きたいで
    すね。

宮崎 これから社会に出ると思いますがその意気込みを。

末原 高校時代にお金を稼いでいたことはありましたが、正直その時は幸運
    にもお金が入ってきただけで狙ってやったわけではありません。自分
    の力で稼いだわけではなかったんですよね。ですからこれから社会に
    出た際には自分の魅力をフルに発揮できるようにして、仕事を当たり
    前にやっていけるようになりたい。その上でクライアント、消費者、
    従業員、環境、仲間、家族。自分のまわりにいるみんなが幸せになれ
    るような社会起業をしたい、そう思っています。
   
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【連載企画】     エディターズ・アイ Vol.2

      〜 旧暦のお正月を迎えました!新年快楽 〜

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新年快楽!(しんにぇんくゎいらぁ)。日本語で言う「あけましておめでと
うございます」です。
エディターズ・アイ第2回は、華僑の陳がお送りいたします。
私のコーナーでは、国や文化の違いを伝えつつも、それを通して異国でも異
文化でも奥底にある人間の共通する部分ってたくさんあり、異国、異文化の
人々も皆同じ人間だな〜と感じていただければ幸いです。

今週月曜日の1月26日は旧暦の元日すなわち春節にあたります。日本の首
都圏で、この春節をお祝いするのは、中国人や韓国人など、私のような華僑
の人々でしょうか。

我が家は数日前から家の中に真っ赤な飾りが幾つか壁にかけられ、春節ムー
ドを醸し出しています。皆さんも赤い派手な飾りつけは、中華街などで見た
ことがあるかと思います。赤や金は縁起がよいとされている色です。
この派手な飾りで今年一年の商売繁盛や「福」(日本でいう「幸」)がある
ようにとの願いを込めています。「恭喜發財」「万事如意」などのいろいろ
な縁起のいい四字熟語の文字もたくさん使われます。そして中華街では赤い
提灯がずらりと吊るされ、イルミネーションももちろんピカピカでした。
中華街を案内しているインフォメーションセンターのようなところでは、獅
子舞で使われる獅子が素敵に飾ってありました。獅子も真っ赤で、目がパッ
チリしていて可愛かったです。実際に舞っているところを見たかったのです
が、タイミングが合わずお目にかかれませんでした。獅子は写真を撮りまし
たので、もうすぐリニューアルする予定の『きゃりあ・ぷれす』のサイトで
アップします。その際にはぜひご覧ください。

中華街はいるだけでとてもエネルギッシュな気分になりました。そして、
その奥には「この新しい一年もいい年にしたい」という人々の思いや願いを
感じました。表現は違えども、新年へ対する期待や希望というのはきっと万
国共通ですね。中国の場合、そういった思いは日本よりもつつみ隠さず表現
されているように思います。わかりやすくて私は好きです。

余談ですが、小学1年生、2年生の時はこの中華街の学校に通っていました。
それから20年近く経ちましたが、中華街はずいぶん小奇麗になりました。
観光客も増えて、お土産のお店もずいぶん増えました。夜はレストランから
出てきた客を引くためにタクシーがゆっくり徐行しながら行列をつくるくら
いです。個人的な判断かもしれませんが、昔に比べると本当に栄えましたね。

さて、この日、母はアジア系の友人とお食事に出かけ、夜は日本から親戚に
あいさつの国際電話をかけまくり、慌ただしい一日を過ごしたとのこと。
我が家に帰ると、赤いお年玉袋が机に置いてありました。父と母からのお年
玉です。30歳前にしてお年玉をもらうなんて・・・日本では、もう大人なん
だからと恥ずかしいかぎりですが、私の出身であるシンガポールでは、年齢
に関係なく、自分より下の世代にお年玉を渡す場合が多いです。
だから、春節になると年配者の方は赤いお年玉袋を束のように常備していま
す。残念なのは、配る人数が多いので中身は少ないです(笑)
でも、旧暦のおかげでもう一度お正月気分を楽しませてもらいました。

                           (陳 敦琳)

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