2007.5.23発行 vol.249
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■特集企画■ずぅーっと戦後でありたい。
              〜憲法9条をめぐる思い〜
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       ずぅーっと戦後でありたい。
              〜憲法9条をめぐる思い〜
                       発行人 宮崎郁子
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国民の何割に当事者意識があるのかもよくわからない状況の中、教育3法案
があれよあれよという間に衆議院を通過し次は憲法改正が論議されています。
「きゃりあ・ぷれす」が読者にお伝えしたいメッセージを発行人 宮崎の文
章でお届します。是非お読みください。
                              

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『きゃりあ・ぷれす』は、決して政治を扱うメディアではありません。私自身
も、以前よりずっと政治に対して絶望感と倦怠感をもっていて、そんなことよ
りビジネスを通じて少しでもいい社会をつくることに微力ながら役立ちたいと
考えるようになっています。マスメディアコントロールと企業によるTVコマー
シャルの嵐、テレビゲームに代表される逃避商品の氾濫の中で、何かまともに
考えたり、まじめなことや人と違うことを言ったりすることは、全く時代おく
れのダサイことウザイことという空気感が上手に形成されています。そのまと
わりつく空気を払い除けて何か言うことは、とてもエネルギーがいることにな
ってしまっています。70年代初期くらいまであった多少なりともカッコイイと
いう空気は全くゼロです。

にもかかわらず、カッコワルイこと、ウザッタイことを承知の上でこうして書
こうとしているのは、今の状況を何もせずに成りゆきにまかせることは、今後
10年20年、50年100年に禍根を残すと思えてならないからです。

先日友人の生まれたばかりの赤ちゃんに会いました。私たち大人は、この子供
たちから社会を預かっているにすぎないのです。どうしようもないものにして
返す訳にはいかないのです。
これから書こうとしていることは、私自身が感覚でとらえたことです。どっか
の政治勢力の受け売りでは決してありません。感覚ですから必ずしも証拠や論
拠がないものもあります。でも当たっていると思っています。

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日本政府が憲法9条を変えるのにやっきになっている訳
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日本政府、特に安倍内閣はなぜそんなに憲法9条を変えるのにやっきになって
いるのでしょう。日本国内で憲法9条を変えたいという要望は少なくとも市民
レベルでは全く出ていません。(経済界では出ているようですが。)「国際貢
献」とか「国際的要請」とかいう理由が持ち出されますが、アメリカ以外どこ
の国が日本の軍備拡張を望んでいるのでしょうか? とすると「国際」という
のはアメリカのことなんですね。「アメリカ貢献」「アメリカ的要請」。

それであれば、よく理解できます。安倍晋三氏が、何か独自のポリシーをもっ
ているとはどうしても思えません。アメリカの強い要請に一生懸命応えようと
しているのなら、とてもよくわかります。目標を作ってもらうとそれに向かっ
てすごく努力してしまうタイプだと思えるからです。

では、アメリカはなぜ日本に軍備拡張をしてほしいのでしょうか?
もちろんイラクとか、アメリカが牛耳りたいところへの武力投入に使いたいと
いうことでしょうが、特にやってほしいのが北朝鮮に対する番犬の役割だと思
います。

アメリカとしては、何の経済的利益にもつながらない北朝鮮なんか、本当はど
うでもいいのです。大きな石油利権のある中東に精力を集中したいところです
でも北朝鮮はアメリカにとってうるさい5月のハエのように、癪にさわるいろ
いろなことをやってきます。もちろん核もそうですが、一番厄介なのは偽ドル
ではないでしょうか。これは放っておけません。何の利益も生まなくても、ド
ルというアメリカの最大の基盤を脅かしかねないということになると、面倒で
も何とかせざるを得ません。韓国が軍事政権である内はよかったのですが、民
主化してしまった今はもう番犬としては使えません。そこで日本です。

同時に、日本の軍備拡張が中国、韓国、その他戦時に日本の被害を受けたアジ
ア諸国との軋轢を増大することも、アメリカにとっては望むところです。中国
と日本が組んでアジア経済圏など確立してしまったら、アメリカにとってはす
ごく厄介です。北朝鮮の偽ドル以上に厄介です。

憲法9条放棄による日本の軍備拡張は、このように2つの意味で、アメリカに
とっては大変好都合な状況を生み出します。まさに一石二鳥です。そして、今
できるだけ早いとこそうしてほしい理由もはっきりわかります。偽ドルやアジ
ア経済圏の問題は、いますぐ手を打たなければならないことだからです。

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拉致被害者家族は2度だまされている
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このことはもしかしたら、マスメディア界でもタブーなのかもしれません。こ
うした視点での報道は、なぜか見たことがありません。それがとても不思議で
す。

拉致被害者とされる人々は、特に1977年から1978年の1年間に集中し
て、日本海側の町や村から失踪した若い男女で、認定されているだけで10人
以上になっています。北朝鮮の工作船が拉致したといわれますが、そのような
ことがなぜ簡単にできたのか不思議でなりません。
9・11の時に、リアルタイムにその映像を見ていて感じた「何か変」という
感覚と同じものを感じます。そんなに簡単に、そんなことが起こるの? とい
う違和感です。

9・11の件でもささやかれているように、「知っていてやらせた」という感
覚です。拉致が集中的に、そしてあまり周到とはいえないやり方で行なわれた
にもかかわらず、当時の米軍や日本の公安が、北朝鮮との関連を察知できない
ほど幼稚であったとは、どうしても思えないのです。にもかかわらず、実際に
危険にさらされている地域の人々に対して、(当時その地域近くに高校生とし
て暮らしていた2人のパンゲアメンバーに聞いたところ)警告のひとつもまと
もに発せられていません。この事実は、何を意味しているのでしょうか。微妙
な国際状況に配慮して、北朝鮮の仕業ということを明らかにしなくても、何ら
かの方法で住民に注意を喚起することはできたはずです。そうすればこんなに
多くの人々が拉致されることはなっかたのではないでしょうか。なぜ、それす
らしなかったのでしょうか。

私は、当時米軍が計画していた多くのプランのひとつとして北朝鮮「民主化」
という名の派兵プランがあったのではないかと思います。その正統性を示す札
のひとつとして北朝鮮の日本人大量拉致の事実が使えると考えたとしても不思
議ではありません。実際、9・11はそのように使われました。9・11を理
由にアフガニスタンを崩壊させ、さらにイラクにまで侵攻することができたの
です。
しかし、おそらく前述のように「何の経済的利益にもつながらない北朝鮮」と
いう理由やその他経済的、戦略的な観点から結局アメリカ政府内で北朝鮮派兵
プランのプライオリティが高まることはなく、「日本人大量拉致の事実」とい
う札も使われずじまいになったように思います。

そこで、今回の憲法9条放棄による日本の軍備拡張の気運を高めるための札と
しての利用です。

「拉致」の問題がクローズアップされた時、政府、特に安倍晋三氏が被害者家
族会に肩入れしていることに、私はひどく違和感を感じました。安倍氏のキャ
ラクターにそういう弱い立場の人と共に辛さを分かち合うというような要素が
全く感じられなかったからです。何だか全然ミスマッチ、似合わない、という
感覚です。さらに「何を今さら。知ってたくせに」という気持ちも大きくあり
ました。百歩譲って故意でなかったとしても(故意であったなど口が裂けても
言えることではありませんが)拉致被害を拡大させた責任は、はっきりと何の
手立てもこうじなかった当時の政府にあります。そのような論調が少しでも出
る前に、自分達の無策無為(あるいは故意)にさっさと煙幕を張って、すばや
く同じ被害者として振る舞って見せたという印象が拭えません。その後は、北
朝鮮憎むべしの気運の盛り上げ、ナショナリズム高揚に「北朝鮮の日本人大量
拉致」の札を大いに活用していることはご承知の通りです。

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このままでは北朝鮮方向の「みにくい国」になっていきそうな日本
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私は決して北朝鮮は悪くない、北朝鮮の人々はそれなりに幸せだなどと思って
いる訳ではありません。でも、北朝鮮だけが悪で、アメリカや日本は善良だと
いう単純な図式は当てはまらないと思うのです。
今のところ、こうして個人の見方や意見を言える状況なので、もちろん北朝鮮
よりはずっとましです。けれども、このところの憲法9条放棄による日本の軍
備拡張の流れを放っておくと、それさえ危なくなる、という危機感をもってい
ます。
実際、今月14日に成立した国民投票法案には、当初メディアの言論規制の項
目が含まれていました。さすがにそれは引っ込められたようですが、教育者に
対する言論規制は盛り込まれてしまっています。
日本は、どんどん北朝鮮方向の「みにくい国」になっていきそうで、大変危惧
されます。

阿倍氏は「戦後レジームからの脱却」という言葉をよく発します。レジームと
は政体、政権、制度などという意味です。もしそれを言うなら、まずは政権交
代でしょう。超長期政権としての責任をまたしても煙にまいて、まずは憲法を
というのはどう考えても順番が逆。なんとも強引で手前勝手な言い分です。

また、「アメリカに押しつけられた憲法だから変えたい」という言い分も、先
に書いたことからすると何とも妙。「アメリカに押しつけられた憲法をアメリ
カの都合で変える」ということになります。

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私の思い
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●「戦前」になるくらいなら、ずっと「戦後」でありたい。
   この世界、「戦前」と「戦後」しかない気がします。「戦後」とは、施政
   者、国民全体が戦争の醜さ、恐ろしさを心底感じ、自分が被った痛手と他
   者になしてしまった害悪を共に大変辛いものとして心に刻み込んみ、反省
   している状態をさします。「戦前」とは、それを忘れてしまった状態です。
   私は、ずっと「戦後」である日本を望みます。
  
●憲法9条は「戦後」の象徴であり、これを手放すことは「戦前」への道につ
   ながる。

●「アメリカがつくった憲法」であることを逆手に取る。
   アメリカは何といっても強大で容赦のない表と裏の力をもっています。
   これに表立って逆らうことは難しいでしょう。であれば「アメリカが作っ
   た憲法」であることを逆手に取って、「それを大切にする」というスタン
   スで、今のアメリカの要求をかわすべきだと思います。

●今年7月の参院選で、憲法9条放棄の流れにはっきりNOの意志を私たちが
  示す。
   これは国民投票と同じ意味をもち得ます。憲法改訂の国民投票まで持ち込
   ませずに、先に国民の意志を明確にするチャンスです。