2006.9.14発行 vol.230
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■特集企画■20代の「ワカモノ視点」で動き出した
     NGO「BOOMERANG NET」の活動紹介
◆青森県六ヶ所村核燃料再処理工場の稼動を絶対止めるぞ!!
  「STOP ROKKASHO」 日本語署名サイトのOPEN
◆世界のちょっとヤバそうな問題をワカモノ視点で取り上げる!!
「ホントが見えるフリーペーパー『UNITEDーVOICES』の発行
◆ボランティア・スタッフ、サポーター急募!!!
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『きゃりあ・ぷれす』vol.221(2006年6月13日発行)でお伝え
した「STOP ROKKASHO」(青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場
の稼動を止めさせるムーブメント)は、その後引き続き行なわれていて、
『きゃりあ・ぷれす』でもこのムーブメントを広げ、署名を集めるためのお
手伝いをしていますが、そのきっかけになったのは、6月4日に開催された
「STOP ROKKASHOナイト〜坂本龍一さんを囲んで〜」に参加し
たことからでした。

参照バックナンバー
  → http://www.pangea.jp/c-press/backnumber/cp-0221.html

私自身このイベントに参加するまで、このように世界規模で憂慮しなければ
ならない「恐ろしい現実」を知らなかったわけで、大いに反省したしだいで
す。

そんな中、会場で目に止まったのが、「ホントが見える」と表紙に書かれた
フリーペーパーの『UNITED−VOICES』の創刊準備号でした。

20代の若者達のNGO「BOOMERANG NET」(ブーメランネッ
ト)が、なんの後ろ盾もなく、ちょっとヤバそうな世界の問題を「ワカモノ
視点」で取り上げて編集し、フリーペーパーとして発行するというのです。

反省でいっぱいの私は、この若者達の取り組みに大変感銘を受け、素直に応
援したいと思いました。

その日のイベントの壇上に「白いシャツが印象的だけど、何故か居ごごちが
悪そうに座っていた青年」が、代表の高橋健吉さんだということは数週間後
にわかったことです。

今号では、フリーペーパーが継続して発行されることを願いつつ、その高橋
さんから『UNITED−VOICES』のご紹介をしていただきました。

また、9月30日の署名第二弾締切りを目前に、メンバーの小口さんから
「六ヶ所再処理工場」の問題の重要性を『きゃりあ・ぷれす』読者の皆さん
に直接伝えていただきます。

ぜひこの若者達の思いを感じて、署名へのご協力をお願いいたします。

             『きゃりあ・ぷれす』編集スタッフ 全いるち
参照バックナンバー
  → http://www.pangea.jp/c-press/backnumber/cp-0221.html

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    青森県六ヶ所村核燃料再処理工場の稼動を絶対止めるぞ!!
   「STOP ROKKASH」 日本語署名サイトのOPEN
              (BOOMERANG NET・小口広太) 
          
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  再処理とは使用済み核燃料を再び処理してプルトニウムを回収すること。
  しかし利用できるプルトニウムはわずか1%、つまり再処理工場は核の
  ゴミ箱になってしまう。
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青森県六ヶ所村の再処理工場が、多くの市民が反対し、海外からの懸念の声
も高まる中、2006年3月31日に「アクティブ試験(試運転)」という
形で稼動を開始しました。本格操業の開始は2007年7月と計画されてい
ます。建設、運営、廃棄費用すべて含めて総費用は18.8兆円。
現在は「アクティブ試験」と言われていますが、実際は使用済み核燃料を再
処理し、放射性物質も放出されているので、事実上の稼動開始と言えます。
再処理とは原子力発電所から排出される使用済み核燃料を再び処理し、燃え
残りのウランとプルトニウムを回収することです。日本は使用済み核燃料を
全て再処理し、回収されたプルトニウムを燃料に加工して利用する政策を
取っています。これを、国や電力会社は「リサイクル」と言っていますが、
使用済み核燃料から取り出すことができ、利用できるプルトニウムはわずか
「1%」程度で、残りの「99%」が燃料に使用できないゴミです。プルト
ニウムを燃料として利用する過程でも核のゴミは排出されますし、最終的に
は再処理工場やその関連施設全てが巨大な核のゴミとなります。これが果た
して「リサイクル」と言えるのでしょうか?

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  すでに日本は約43トンのプルトニウムの保有、にもかかわらず利用計画
  は事実上なし。いったい何のための再処理なのか・・。
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また、プルトニウムの利用にあたっては高速増殖炉が不可欠ですが、高速増
殖炉「もんじゅ」は1995年12月にナトリウム火災により稼動を停止し
ているため、実際にはプルトニウムの使い道はありません。ところが、取り
出されたプルトニウムを再度燃料に加工し、それとウラン燃料を混ぜ合わせ
たMOX燃料を一般の原発で燃やす「プルサーマル計画」なるものがあるわ
けで、今日の政府見解では「利用目的」があるということになっています。
日本は今まで、イギリスとフランスに使用済み核燃料の再処理を頼んでいま
した。日本はすでに国内外に約43トンものプルトニウムを保有していま
す。これだけのプルトニウムを利用する計画は事実上存在しません。高速増
殖炉の開発は行き詰まり、プルサーマル計画を受け入れに名乗りを挙げる地
域もほとんど存在していないのです。
こう見てみると「何のために再処理をするのか」理解に苦しみます。世界的
は使用済み核燃料を再処理せず、そのまま高レベル放射性廃棄物として「直
接処分」するほうが主流です。実際、六ヶ所再処理工場でのアクティブ試験
が始まって5ヶ月が経とうとしていますが、アクティブ試験直後から、様々
な事故やトラブルが起きています。これは、今後本格操業が始まり、大きな
事故につながりかねません。青森県民やその隣県の再処理工場の安全面にお
ける不安は募っています。安全性の他にも自然環境への影響や核拡散の可能
性といった不安があります。

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  1年分に相当する放射能が1日で大気と海へ
  自然環境への影響と食物連鎖の最終点にいる人間への影響
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六ヶ所再処理工場からは多くの放射性物質が放出されていますが、それは原
発から出る1年分に相当する放射能が1日で大気と海に放出されると言われ
ています。
この放射性物質が魚やお米、野菜などの食べものに食物連鎖を通じて生物濃
縮され、最終的に食物連鎖の最終地点にいる人間がその食べものや飲料水を
通じて放射性物質を体の中に取り込むことになります。
再処理工場から放出される放射性物質が与える自然環境への影響は、風評被
害として、現地の漁業や農業に大きな影響を与える可能性があります。

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  「核拡散」につながる再処理の稼動を、世界の流れに逆らってまでも
  進めるのは何故?「平和目的」と主張するが、日本を見つめる世界の
  目は厳しい。
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使用済み核燃料の再処理工程は核兵器用プルトニウムの生産工程の一部と原
理的にはほとんど変わりません。つまり、再処理工場の稼動は「核拡散」に
つながり、人類にとって破局をもたらしかねない危機と一体不可分のものと
言えます。いくら日本政府が「原子力の平和利用である」と主張しても、世
界から「日本は核兵器を作ろうとしているのではないか」と疑われても仕方
がありません。世界の流れに逆らって再処理を進める日本を見つめる世界の
目は日々厳しくなっています。
北朝鮮も使用済み核燃料の再処理を「平和目的」と主張しましたが、日本も
アメリカもこれを信じていません。しかし、北朝鮮の再処理が「核兵器取得
目的」で、日本の場合は「核兵器取得目的ではない」と誰が言えるのでしょ
うか?
日本の態度は明らかに矛盾していて、世界に核拡散を促すような態度をとっ
ています。このような態度を取る日本が「ヒロシマ・ナガサキ」の経験を生
かして核軍縮の必要性を世界に唱えても何も説得力がありません。少なくと
も使用済み核燃料の再処理をやめることで、日本の核疑惑は解消され、なお
かつ日本の言動は説得力を持ちます。それは核軍縮へとつながるものとなる
はずです。
また、再処理工場をはじめ、原子力関連施設がテロの格好の標的になること
も付け加えておきます。
以上のように、安全面、自然環境、核拡散という再処理工場が抱える不安要
素を見てみると、再処理工場の稼動は六ヶ所村だけの問題ではないことがわ
かります。私たち一人一人の生活を脅かすものとして、また将来世代にとっ
て本当に再処理工場は必要なのか、私たちは真剣に考える必要があるでしょ
う。

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  その気になれば止められる“アナタにできるコト、あります”
  「署名」というカタチで意思表示を! 署名サイトオープン!!
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私たち「BOOMERANG NET」が『UNITED−VICES』の
発行を決めた頃、音楽家の坂本龍一さんが「stop-rokkahso.org」というサ
イトを立ち上げ、これに賛同した多くのミュージシャンやアーティストが、
音楽やアートの力で六ヶ所再処理工場の稼動停止を呼びかけるキャンペーン
を始めました。
「BOOMERANG NET」では、坂本龍一さん及びウェブサイト
「stop-rokkasho.org」との協同により、
署名サイト( http://stop-rokkasho-petition.net/ )の準備・運営を
行なっています。
この署名サイトは六ヶ所再処理工場の稼動停止と日本のエネルギー政策を自
然エネルギー重視の方向へシフトしていくことを目的として、日本国総理大
臣に提出する予定のものです。
六ヶ所再処理工場に問題があるということは理解したけど、それに対してど
のように具体的な行動を起こせばよいのかわからないという方は、「署名」
というカタチで意思表示をしてみてはいかがでしょうか?

  ☆第二弾署名締切りは9月30日!!!
    署名サイト アクセスはこちらへ
    → http://www.pangea.jp/c-press/rokkasho/

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   世界のちょっとヤバそうな問題をワカモノ視点で取り上げる
「ホントが見えるフリーペーパー『UNAITEDーVOICES』の発行
            (BOOMERANG NET代表・高橋健吉) 

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「BOOMERANG NET」では、新聞やテレビなどマスコミではほと
んど取り上げられていない六ヶ所再処理工場の問題を伝え、世代を超えて多
くの方々が議論し、具体的な行動へとつなげていただくために、今年の4月
から、フリーペーパー『UNITED−VOICES』の発行を始めまし
た。
『UNITED−VOICES』では、六ヶ所再処理工場を含め、普段メ
ディアでは取り上げられることの少ない様々な社会問題を、「ワカモノ視
点」で掲載しています。既に6月には創刊準備号(3000部)を、7月に
創刊号(5000部)を発行しました。9月20日には第2号を発行する予
定で、今後も隔月で発行していくことを目指しています。
「BOOMERANG NET」は、学生やフリーターが中心となって活動
しているため資金的な後ろ盾がありません。企業や団体の広告掲載、また読
者のみなさまからの寄付など資金的なサポートを受けて、『UNITED−
VOICES』の発行を継続していきたいと思っております。みなさまから
の温かいご支援、ご協力をお待ちしております
『UNITED−VOICES』を読んだ方々から、「六ヶ所再処理工場に
ついて初めて知り、ビックリしました」「今後も六ヶ所再処理工場のことに
ついて考えていきたい」など多くの感想が寄せられています。このように、
『UNITED−VOICES』が一人でも多くの人たちに六ヶ所再処理工
場について考えるキッカケを与え、核燃サイクルや原発の問題を共有するこ
とで、核や原子力が私たちの生活とはなんら関係のない特別なものではな
く、将来世代も含め、私たちの生活に非常に密着した問題であることを多く
の人たちが認識することはとても大切なことだと思います。日常生活の中
で、核や原子力について話すことができ、多くの人たちが議論できる雰囲気
を作り、一人一人が自分の生きたい世界を描けるようにするために、『UN
ITED−VOICES』が一つのキッカケとなってくれることを祈ってい
ます。

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      『UNITED−VOICES』では
      ボランティア・スタッフ、サポーター、配布店舗
      その他、広告掲載など募集しています。
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◆フリーペーパー『UNITED−VOICES』概要
配布部数:   5000部(2006年9月現在) 
媒体サイズ   A5
頁数      16頁
発行サイクル  隔月刊
発行      BOOMERANG NET(ブーメランネット)
         〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-29-12-305
         URL: http://boomrang-net.org
         E-mail: info@boomrang-net.org

◆ボランティア・スタッフ募集!!
現在、『UNITED−VOICES』編集部では、イラストレーターを使
用できる「デザイン・サポートスタッフ」を緊急募集しています。 

◆配布店舗の募集!!
『UNITED−VOICES』を全国に広めるために、設置してくださる
お店、カフェやレストラン、お店、学校、会社などを募集しています。
また、設置するかどうかを決めかねているのでサンプルが欲しいという方も
サンプルを全国に発送させていただきます。

◆サポーター募集!!
『UNITED−VOICES』の発行を資金的に支援してくださる個人・
団体・企業を募集しています。読者のみなさまからの資金的なサポートで
『UNITED−VOICES』の発行は支えられています。

☆サポーター制度
1口(個人3000円 企業・団体サポーター5000円)
【振込先】郵便振替口座/加入者名:BOOMERANG NET
      口座番号:00220−6−78892
*振込用紙に下記の項目をご記入ください。
・お名前・ご住所・お電話番号・メールアドレス(任意)
・金額(個人 口・団体 口)
*サポーターに申し込まれた方のお名前を掲載させていただいていますが、
お名前の掲載を希望されない場合は、郵便局口座へお振込みの際、通信欄に
「掲載不可」とご記入ください。
※個人情報の取り扱いには、BOOMRANG NETで定めた個人情報保
  護の指針にしたがって慎重に行ないます。

◆広告掲載について
企業・団体・個人のみなさまの広告を掲載します。広告収入は『UNITE
D−VOICES』の発行に関わる運営資金となります。

◆『UNITED−VOICES』の入手方法
原則的には『UNITED−VOICES』の配布先一覧、または「BOO
MERANG NET」のHPで掲載されているお店で入手することができ
ます。

◆すべてお問い合わせ、ご連絡についてはメールでお願いいたします。
・E-mail: info@boomrang-net.org