2006.5.19発行 vol.219
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■特集企画■木村麻紀さんの本が出版されました!
世界のLOHASの潮流が分かる
『ロハス・ワールドリポート ー人と環境を大切にする生き方ー』
◆LOHAS(ロハス)が当たり前になるために
木村麻紀
◆本当のLOHASがわかる出色のリポート
宮崎郁子
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木村麻紀さんの本が出版されました
『ロハス・ワールドリポート ー人と環境を大切にする生き方ー』
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ここのところ『きゃりあ・ぷれす』の発行が相次いでいます。
隔週水曜日の発行が基本スタンスですが、1998年創刊してから8年目を
迎える2006年、なんだか世の中、いえいえ地球が「きゃりあ・ぷれす」
を求めているのではないか・・そんな勘違いをしそうなくらい、伝えたい、
伝えなくてはならないテーマが続々と押し寄せてきます。
私たち編集スタッフは、そのことを「こころからよし」としていて、まだま
だ明確には姿を現さないけれど、私たちが望んでいる社会の兆候を感じてい
ます。
今回も号外として、その兆候を読者の皆さんにお届けします。
「きゃりあ・ぷれす」にも縁の深いフリージャーナリスト木村麻紀さんの
「LOHAS」をテーマにした本の紹介です。主に欧米を中心に木村さんご
自身が取材をし、体感をした事例が書き下ろされています。
今の日本では「LOHAS」はただのブームでしかないのか、本当に人と地
球環境を持続させるものとなり得るのか、その分岐点にあるような気がしま
す。
昨年12月に「きゃりあ・ぷれす」で行なった「LOHAS」をテーマにし
たアンケートでも、現状のLOHASがブームとして捉えられていることを
危惧する声が多く見られ、本質的なLOHASへの認識を深めたり、ライフ
スタイルを実現したりするための情報が求められていました。
そんな中、木村さんの確かな取材によって伝えられる「人と地球」のよい兆
候は、私たちの暮しそのものの後押しをしてくれるかも知れません。
今号では、木村さんご自身からの本の紹介と発行人宮崎郁子の感想を掲載し
ます。
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LOHAS(ロハス)が当たり前になるために
木村麻紀
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地球環境と人間の健康に配慮したライフスタイルを指すLOHAS
(Lifestyles of Health and Sustainability、ロハス)。2002年11
月発行の122号でロハスのことをご紹介しましたので、当時からお読みい
ただいている「きゃりあ・ぷれす」読者の皆さんにはもうすっかりおなじみ
かと思います。今や、日本人の45%がロハスを知っている(電通消費者研
究センター調べ)とのことですが、日本ではオーガニック素材の料理を食べ
てヨガをすればロハス!と単なるファッションのように捉えられている節が
あるようです。しかし、ロハスとはファッションなどではなく、世界で広が
り続けるトレンド(潮流)なのです。
環境への負担を少なくする様々な技術を取り入れたグリーン建築、現代医薬
に頼らずに人間の治癒力を最大限に生かす代替医療、環境対策や従業員の福
利厚生、社会貢献に積極的な企業の株式に投資する社会的責任投資(SRI)
−。これらは日本ではまだまだ一握りの熱心な人々の間でしか知られていな
いのが現状です。しかし世界に目を転じれば、望めば楽に手に入る普通の選
択肢として市民権を得つつあるのです。ロハスを体現したこのような社会現
象は、衣食住から健康、娯楽、金融、教育、仕事や生き方といった私たちの
生活のあらゆる場面でじわじわと広がっています。
そんな世界の潮流の最新動向を詳しくご紹介した「ロハス・ワールドリポー
ト−人と地球を大切にする生き方−」(木楽舎)をこのたび上梓しました。
本書の目次は以下の通りです。
序章 人と地球を幸せにするキーワード「LOHAS」とは?
第1章 フード&ファッション
衣食からLOHASを知る
第2章 リビング&モビリティ
人と地球にやさしい住まいと交通
第3章 ヘルス
自然の力を引き出すメディスン&エクササイズ
第4章 レジャー&エンタテインメント
楽しみながら地球を癒す
第5章 マネー
人と地球を大切にするビジネスを応援
第6章 ラーニング
LOHASな人を育てる教育とは
第7章 ワーク&ライフ
LOHASを仕事にして生きる
この本をお読みいただくと、地球環境や人間の健康、社会のサステナビリテ
ィ(持続可能性)に配慮したビジネスや日常生活が、一部の世界では”普通
のこと”になりつつある様子を感じとっていただけると思います。皆さんも
ぜひ、ロハスが当たり前となる世の中にするために、この本をヒントに仕事
や生活の場面でアクションを起こしてみてください。
今回は日ごろのご愛読に感謝して、「きゃりあ・ぷれす」の読者3名の方々
に本書をプレゼントさせていただきます(詳細はメルマガの最後をお読み下
さい)!読後のご感想なども、お気軽に編集部にお寄せください。お待ちし
ています。
----- プロフィール -----
木村 麻紀(フリージャーナリスト)
時事通信社記者を経てフリー。2004年度米コロンビア大学経営大学院客
員研究員。環境と健康を重視したライフスタイルを指すLOHASについて、
ジャーナリストとしては初めて日本の媒体で本格的に取り上げ、地球環境の
持続可能性を重視したビジネスやライフスタイルを分野横断的に取材し続け
ている。ドイツ・ミュンヘン在住。
著書の出版を機に、公式サイト「Poco a Poco オルタナティブワールドへよ
うこそ!」を「きゃりあ・ぷれす」編集部のご協力で全面リニューアルしま
した。こちらもぜひご覧下さい!
(木村麻紀)
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本当のLOHASがわかる出色のリポート
宮崎郁子
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これまで断片的に、あるいはややイメージ的に伝わってきたLOHASとい
うものについて、主に欧米でのしっかりした取材を基に書き下ろした労作で
す。
渡欧前には本誌の編集にもご協力いただいていた木村さんから、初めてLO
HASについて聞いたのは2002年のことだったと思います。木村さんが
「あとがき」で「(本書の中にも出てくる)『生活創造者チェックリスト』
を見た時には、『これって私が思ってたことそのもの』と驚いたものでした」
と書かれていますが、私もまさに同じ思いでした。
それから4年、木村さんはドイツ、アメリカに居を移し、LOHASをテー
マに精力的に取材活動をされました。
その活動のひとつの結晶として、この「ロハス・ワールドリポート」が出版
の運びとなったことは、「きゃりあ・ぷれす」としても大変な喜びです。
本書では、LOHASが本当に意味するところを明確に示した上で、「フー
ド&ファッション」「リビング&モビリティ」「ヘルス」「レジャー&エン
タテイメント」「マネー」「ラーニング」「ワーク&ライフ」という、私た
ちの暮らしに即した7つの項目で、主に欧米での多くの事例をリポートして
います。
私が特に興味をもったのは、「マネー」と「ワーク&ライフ」の項目です。
やはり、近代という時代を経た私たちの社会は、お金の流れを変えなければ
本当に変化するのは難しいからです。また、マネーの流れに関するアイデア
や仕組みづくりに関しては、欧米人の特に優れているところです。私たちも
大いに参考にしたいものだと思います。
また「ワーク&ライフ」については、「きゃりあ・ぷれす」のテーマと大き
く重なります。この章の中で木村さんが書かれている「ワ−クライフブレン
ド」、特に、おそらく今回木村さんがそれを日本語表現する際に思いを込め
たであろう「公私渾然(こうしこんぜん)」という言葉には大変共鳴します。
木村さんは、「ワーク&ライフ」の章をこんな風に結んでいます。
〜「公私渾然」──。仕事人としてモノやサービスを生み出す「公」の自分
と、一般の消費者としての「私」の自分とが、切っても切り離せない状態で
心地よく重なり合っている状態です。このような状態になると、人は「私」
の自分が嫌がることを「公」の自分としてやってしまおうとは思わなくなる
はずです。そう思った時から、「公私渾然」としたLOHAS生活が始まる
のです。〜
真の意味でLOHAS的社会をつくっていく上で、この仕事と生活のあり方
こそ、最も重要なポイントだと感じます。
特に、物質的な豊さが頂点に達した今、人の「幸せ」のひとつのバロメータ
ーは、その人の仕事での価値観と私生活の価値観が分断されていない自己統
一性の度合いなのではないでしょうか。
そしてそうした自己統一性をより多くの人々がもてるようになった時、より
幸せで本当に豊かな社会が生まれるのだと思います。
仕事で疲弊し切った自分を何かで癒すことのくり返しは、本当のLOHAS
とは言いがたいのです。逆に仕事と私生活の価値観が一致していれば、仕事
は「労働」ではなく、生きていくことそのものの「営み」になるのではない
かと思います。
著書「ロハス・ワールドリポート」では、主にLOHASの本家本元、欧米
の事例を、そして、今日リニュ−アルスタートの木村さんのサイト
「Poco a Poco」では主に日本の事例を紹介しています。
是非その両方をチェックしてください。本当のLOHASが見えてきます。
(宮崎郁子)