2006.3.15発行 vol.213
--------------------------------------------------------------------
■特集企画■】第8回読者アンケート結果発表!(後編)
[環境・LOHASに関して]編集部よりコメント
◆環境に配慮した行動やLOHAS的ライフスタイルに対し
大変意識が高い読者の方々。一方表面的なLOHASブームに
対してはちょっと疑問をもっているという読者の方々の姿が
見えてくるアンケート結果でした。 宮崎郁子
◆[環境・LOHAS]に対して見られる価値観の分布から
「きゃりあ・ぷれす」に求められていることについて
考えてみました。 山崎義高
◆LOHASの“L”、それぞれの“L” 田中景子
◆アンケートのお礼にかえて 全いるち
…………………………………………………………………………………………
■□■ ■□■
第8回読者アンケート結果発表!
[環境・LOHASに関して]編集部よりコメント
■□■ ■□■
前編・中編に引き続き、第8回読者アンケート結果の後編をお送りしま
す。ご回答をお寄せいただいたいただいた読者の皆さまには重ねてお礼
申し上げます。ご協力いただきありがとうございました。
このアンケートは、読者の方がどのように働いているのか、また働くう
えでどのようなことを考え、感じているのかを知るために毎年行なって
いるものです。いただいた貴重なデータは、今後の「きゃりあ・ぷれす」
の編集や新たな活動等に役立てていきます。
サイトにはグラフ入りのより見やすいアンケート結果が掲載されており
ますので、ぜひそちらの方もご覧になってください。
前編・中編では主に回答結果の数値やいただいたコメントをご紹介しま
した。今号では「環境・LOHASに関して」への回答や集計結果につ
いて、編集部のメンバーよりそれぞれコメントをお送りします。
○第8回読者アンケート結果発表
→
http://www.pangea.jp/c-press/anq/anq8/
..............................................................◆◇◆
■□■ ■□■
環境に配慮した行動やLOHAS的ライフスタイルに対し
大変意識が高い読者の方々。
一方表面的なLOHASブームに対してはちょっと疑問をもっている
という読者の方々の姿が見えてくるアンケート結果でした。
(宮崎郁子)
■□■ ■□■
まず今回のアンケート結果で明らかになったのは、「きゃりあ・ぷれす」読
者の方々が、一般の方々に比べ環境に配慮した行動やLOHAS的ライフス
タイルに対し、大変意識が高いということです。
ちなみに、今年2月6日に朝日新聞に掲載されたマイボイスコムによる一般
調査では、LOHASに関して次のような結果が出ています。
●内容・意味は知っている 13.1%
●言葉を聞いたことはある 25.3%
●知らない 60%以上
一般対象のネット調査と本誌の調査では、母数も手法も異なるので単純な比
較はできませんが、上記に対して今回の調査では、LOHASという言葉に
関して次のような結果となっています。
■5. LOHASという言葉を知っていますか?
●よく知っている 51.4%
●知っているが、意味はよく分からない 30.0%
●まったく知らない・無回答 18.6%
数字がほぼ逆転しているのがわかります。
LOHASという言葉は、一般的には、まだまだそれほど認知度が高いわけ
ではないようです。
このネットによる一般調査の結果から推論すると、本誌アンケートの4テー
マ目[環境・LOHASに関して]の2番目の質問項目で、「環境に配慮し
た行動」を「している」と答えた方が70%という数字も、おそらく一般の
方々に比べれば大変高いものなのではないかと考えられます。
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●表面的なLOHASブームには「?」
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
また、本誌アンケートでのLOHAS的ライフスタイルに関しての質問で、
●取り入れている 54.3%
●取り入れていないが取り入れたいと思っている 30.0%
という数字も大変高いものだといえるでしょう。
言葉を知っているかどうかという数字とほぼ同様になったようです。
しかし私がこの質問の選択肢のなかで一番注目したいのは、3つめの選択肢
●取り入れることにあまり意味がないと思っている(4.3%)
とお答えいただいた方の選択理由です。健康や環境を重視したライフスタイ
ルそのものに意味がないということではなくて、今後さらに広がるであろう
ブーム的なLOHASに対しては、やや懐疑的な声が聞こえてきました。
そのことに関しては、「きゃりあ・ぷれす」としても同様の危惧をいだいて
いて、中身が同じものの単なるラベル替えや、中身が伴わないにもかかわら
ず付加イメージによって拡販を図ったり、便乗値上げに結びついたりしかね
ないとも思っています。
そのあたりの判断については、できるだけ本物の情報をお届けすることで、
少しでも役にたてればと考えています。
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「きゃりあ・ぷれす」とLOHAS、そしてMINOHODOism
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
時事通信の記者だった木村麻紀さんによって、「きゃりあ・ぷれす」誌上で
LOHASが紹介されたのは2002年11月のことでした。
弱小メディアながら、おそらく日本で最も早くLOHASを紹介したのでは
ないかと思っています。
【きゃりあ・ぷれす vol.122】
『21世紀のビジネスと消費のキーワード、LOHASって何だ?』
http://www.pangea.jp/c-press/backnumber/cp-0122.html
そこで紹介したLOHASは、今ちまたで氾濫している表層的なイメージワ
ードとしてのそれでなく、これからの新しいパラダイムを示したものであっ
たと認識しています。
その後多くのメディアにも紹介され、オーガニックやスローライフに代わる
新しい消費のキーワードとして、様々な企業がとびつき、ともするとお手軽
で便利なイメージワードとして乱用されつつあるというのが残念ながら現状
かもしれません。
<検索サイトにおけるキーワード「LOHAS」ヒット件数の推移>
●2002年秋(「きゃりあ・ぷれす」記事掲載時) 50件
●2004年秋 6,000件
●2006年3月6日 1,980,000件
しかし、ビジネスにおいてもエコやサスティナビリティーということについ
て無視できない、いやそれ以上にこれからの消費のキーワードとしてそれし
かないということを表しているのも事実です。
それだけパラダイムは大きく変わりつつあるとうことではないでしょうか。
私はへそ曲がりなので、LOHASの内容を知ったとき、そんなことは日本
人が本来もっているものじゃないか、何も欧米から輸入しなくたっていいと、
LOHASの概念におおいに賛同しつつ、より身体感覚という視点を重視し
たMINOHODOismという言葉を掲げました。
けれどもその中身は、本質的にはかなり近いと思っています。
読者アンケートにも示されたように、今後「きゃりあ・ぷれす」では、何が
本当のLOHASなのか、そしてMINOHODOismなのか、そして実際にどのよ
うな動きがおこっているかを折りにふれてみなさんにお伝えしていければと
考えています。
消費のキーワードとしてではなく、「仕事と社会のこれから」を考えていく
上での重要なキーワードとして。
みなさんからの情報提供や、ご意見もおおいに期待しています。
これからもお気軽にメールなどをお寄せください。お待ちしております。
..............................................................◆◇◆
■□■ ■□■
[環境・LOHAS]に対して見られる価値観の分布から
「きゃりあ・ぷれす」に求められていることについて
考えてみました。
(山崎義高)
■□■ ■□■
「環境・LOHASに関して」の3、『行動をしている方に伺います。実践
しやすい理由は何ですか?』の回答で「気付き」に該当した11人の方のコ
メントを以下にまとめてみました。
・感謝の気持ちが芽生えてきたから
・自分の気持ちが落ち着くから。良くないと思う心でいることは結局苦しい
・身近な問題だから
・結局は自分のためになるので
環境に配慮した行動を、責任感や義務感から行なうことも大切なことだと思
います。ただ、そればかりだと、だんだんと息苦しくなってしまうんじゃな
いかと心配になります。
「やれることだけ」というのも、気軽に続けられそうでいいことだと思いま
すが、「やれること」には個人差があって、本当はもっとやれるのに「やれ
るだけ」と言ってしまう恐れがあります。
「気付き」に該当するとさせていただいたコメントを拝見し、
「気付き」って大事だなあと思いました。
「気付き」にあるのは、「できるだけ」や「すべき」といった個人的な視野
よりももう少しだけ先を見ているような印象を受けました。
もちろん、「気付く」までは「気付き」はありません。「気付き」とさせて
いただいた方のコメントを見たからといって書いた人と同じ「気付き」があ
るとは限りません。
ピンとこない人の方が多いのではないでしょうか。
禅問答のような書き方ですいません。。。
それでも70%もの読者の方が環境に配慮した行動を心がけ、80%を超える方
がLOHASという言葉を認識し、そして生活に取り入れたいと思っていま
す。
まずは自分にできることを見極め、「できるだけ」のことをしていくしかな
いのだと思います。それが「楽ではないけどやるべきだから」という義務感
でも、「苦しいことは続けられないから、できるだけのことを」という意識
であっても、行動し、続けていく中で自然と「気付き」は訪れるのではない
かと私は考えます。
周りの人がどうであろうと、とにかく「今の自分にできること」をやる。そ
んな自分自身に自信を持つことができれば、世の中がずっと良くなると思い
ます。
最後の設問から、「きゃりあ・ぷれす」に期待されているのは、「情報発信」
「検証」「提案」をバランス良く果たすことだという結果が出ました。
LOHASには言葉やイメージが先行しているのではないかという危惧を多
くの方が抱いているのを今回のアンケートを集計して感じました。
玉石混交の情報の中から本当に役に立つ「活きた」情報を検証し、提案を交
えた発信をしていくことが、その期待に応えることではないだろうか。「き
ゃりあ・ぷれす」編集部員として、そのように考えています。
..............................................................◆◇◆
■□■ ■□■
LOHASの“L”、それぞれの“L”
(田中景子)
■□■ ■□■
LOHASの"L"は、ご存知の通り、ライフスタイルの"L"です。
( LOHAS = Lifestyles of Health and Sustainability )
ライフスタイルとは、毎日をどのように過ごしているかということです。
一日一日が積もってゆき、やがて一生になるのならば、ライフスタイルとは、
単なる生活様式という意味に留まらず、その人の生き方そのものを表してい
るものだと言えるでしょう。
本誌アンケートの「環境・LOHASに関して」における
1.「環境に配慮した行動」からあなたはどのようなことを連想しますか?
という設問に対して寄せられた回答の中に、「自分に対して文句を言うよう
な生き方をしないこと。」というコメントがあり、とても印象に残りました。
実際どのような意図でお書きになったのかは解りませんが、今の私には、ぐ
っと来ました。
忙しいから、お金をかけたくないから、手間をかけたくないから・・・。
そういって、だらだらと惰性の習慣を繰り返す毎日。
食事、テレビ、仕事、衣服、買い物、メール・・・。
でも、それは、本当にやりたいものだろうか?
仕事中に短時間でかきこんでいるお弁当は、身体の奥底から食べたいものだ
ろうか?残業して帰宅後ぼんやりと見ている深夜番組は、それほど見たいも
のだろうか?
だって時間がないんだもの。やりたいわけじゃないけど仕方ないじゃないか。
そうやって周囲の環境のせいにして文句を言いがちですが、これらはすべて、
自分に対して文句を言っているのと同じことです。何故なら、そういう毎日
を選択し決定し行動しているのは、他の誰でもない自分自身なのですから。
皆さまから頂いたご回答の一つ一つは、私自身のライフスタイル=生き方を
見つめなおすきっかけとなりました。今回のアンケートはLOHASがテー
マでしたが、べつに“H”や“S”でなくとも構わない、皆さまの一人一人
が自分の“L”を、すなわち生き方を再確認するきっかけとなれば・・・。
そんな風に私は思っています。
『きゃりあ・ぷれす』は今後とも、「仕事と社会のこれから」を考えながら、
読者の皆様一人一人が「自らのこれから」を考えるような情報を発信して参
ります。
..............................................................◆◇◆
■□■ ■□■
アンケートのお礼にかえて
(全いるち)
■□■ ■□■
第8回アンケート「LOHAS]について、大変興味深いご回答ありがとう
ございました。
ある種ブームともいえるLOHAS的社会現象に、振り回されることなくし
っかり向き合っている皆さんのお答えに感銘を受けています。
さて、いきなりですが…
皆さんは高級クリスタル「バカラ」が、フランスの小さい村の名前だという
ことをご存知でしょうか?
1764年、フランス革命でたび重なる戦いに疲弊していたバカラ村の統治
者が、村の復興のために、クリスタル工場を造りました。
世界中を魅了するあの精巧な光の屈折は、戦争を経た人々の「毎日を生きて
いる喜び」であり、クリスタルの原料になっている砂や水という「自然に対
する畏敬の念」なのです。
現在でも、小さい工場は当時のままで、職人さんたちは親子3代にわたる人
がほとんどだそうです。
皆さんのLOHASに対する真摯なお答えに「う〜ん」とうなづきながら、
本当のLOHASとは、社会現象でもなく品物でもなく「人と自然と時間の
つながり」だと、何故か「バカラクリスタル」の光を思い出してしまいまし
た。
「まずは自分自身を大切にする毎日の生活が、結果として周辺に対する配慮
につながり、地球環境を守り続けることになる」
『きゃりあ・ぷれす』は、こんな当たり前の「本物のLOHAS」をさがし
ていきたいと思います。